登山日記
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 雌阿寒岳(1499m) 平成21年6月15日 曇り後霧雨
雌阿寒岳
まえがき・・・火山活動のレベルが引き下げられ登山が可能になった雌阿寒岳へアカエゾマツの原生林が広がる雌阿寒温泉から入り、ゆるやかで散策的なオンネトーコースを下って雌阿寒温泉へ戻る周回コースを歩いてみよう。


【写真】雌阿寒温泉の登山口(標高約720m)

北海道の旅は昨年に続き、三回目。
今回の旅は阿寒岳を中心に摩周岳まで回ってみようと計画していたが、雨で一日停滞し、結局雨の阿寒岳(雌・雄)を登るだけに終始した。

登山口は雌阿寒温泉のすぐ手前にある。
駐車場は雌阿寒温泉の隣りでトイレが目印。登山口のすぐ隣の原っぱにも数台止められる。
登山口には登山届を出すポストが立っているので、忘れずにノートに記入しておこう。
7時50分スタート。



【写真】イソツツジ


登山道はアカエゾマツの原生林の中につけられている。
野鳥の声だけが森の中に響き渡り、静かな山歩きが楽しめる。
登山脇には、イソツツジの白い花がたくさん咲いている。
かわいらしい可憐な花の集合体だ。





【写真】コケモモのつぼみ


北海道のコケモモの花(写真は蕾)は、本州産より赤みが強い傾向がある。
針葉樹の森を過ぎるとハイマツ帯のトンネルに変わる。
ホシガラスのつがいが仲良くハイマツの実をついばんでいた。





【写真】6合目

尾根上に出たところが4合目で、展望も開け高山植物も見られるようになる。
その先の5合目、6合目の先あたりから火山礫の中の急登をジグザグに登っていく。




【写真】ガンコウラン


ガンコウランの黒い実。
草ではなく常緑の小低木だ。
雌雄異株で黒い実はもちろん雌の木になる(これは昨年の実)。
この黒い実を果実酒にするとぶどう酒色になるというが、ガンコウランを見かけるのがほとんど国定か国立公園内なので、採取するわけにいかない。





【写真】8合目

霧雨で展望もないまま8合目を通過する。
そろそろ山頂が近づいてきた頃だ。



【写真】メアカンフスマ

メアカンフスマであろう群落。
葉っぱに細かい毛がいっぱいあり、事前に切り抜いておいた写真と比べてみる。
このメアカンフスマは岩場のあちらこちらで見かけることができる。
メアカンキンバイの蕾もたくさん見かけるが咲いている花はここまでのところない。



【写真】雌阿寒岳

登山口から2時間ほどで雌阿寒岳に到着。
一面ガスの中、噴出孔からゴーッとものすごい音だけがする。
一人で山頂に立っていると心細くなってきたので、写真だけ撮って阿寒富士(オンネトー方面)へ向かう。





【写真】分岐

山頂から少し下った先に北へ派生している阿寒湖への分岐がある。
(阿寒湖の登山口を昨日見てこようと思い、ダートな林道をレンタカーで走ったが鬱蒼としてヒグマが出てきそうな雰囲気だったので途中で引き返してしまった。)

ためらわずに阿寒富士、オンネトー方面へ向かう。


【写真】メアカンキンバイ

火山礫の中に一つだけメアカンキンバイが咲いているのを見つける。
キンバイというと豪華な花を想像するが、これは小さくて可憐だ。





【写真】コヨウラクツツジ


阿寒富士への分岐に出合う。
いくべきか迷ったが、展望がないのは分かりきっているのであっさりあきらめる。
ハイマツ帯を抜けると針葉樹林帯に入る。
登山道脇にはリンゴのような花をつけたコヨウラクツツジが道なりに群生している。
本当にリンゴのようにかわいくって食べたくなってしまう。



【写真】2合目

5合目から先はたらたらと歩きやすい道に変わる。
こちらのコースには火山礫の道がないので膝にも優しい。







【写真】オオサクラソウ

2合目から先、木の階段を下りると道の両脇にはオオサクラソウの群生地が続く。
この時期、この花は阿寒湖周辺のどこでも見かけることができる。






【写真】オンネトーの登山口(標高約650m)


山頂から1時間半ほどでオンネトー登山口。
ここからはオンネトーを眺めながら雌阿寒温泉へ戻る。




【写真】オンネトー野営場

登山口から右手にあるオンネトー野営場へ向かう。
管理棟にトイレがあるので借りていこう。
野営場ではカケス、アカゲラ、ハクセキレイ、ウソなどたくさんの野鳥が観察できるので結局ここで40分も時間を過ごしてしまった。


【写真】オンネトー

管理棟からはキャンプ場のベンチの中を通って、オンネトー沿いに進む。
シラカバをはじめ渓畔林の中に美しいブルーのオンネトーが静かに佇んでいる。
見る角度によって、エメラルドグリーン、ダークブルー、ライトブルー・・・と変化していく。






【写真】分岐

雌阿寒温泉への分岐からオンネトーと離れていく。
エゾアカマツ、トドマツなどの針葉樹林の中を30分も歩くと雌阿寒温泉に着く。





【写真】ミズバショウ群生地

見事なミズバショウ群生地につけられた木道を渡りきると登山者専用(雌阿寒温泉)の駐車場に出る。
この駐車場で北海道でしか見られないエゾセンニュウのさえずりを聞いた。独特のさえずりなので耳に残る。



【写真】野中温泉別館

今宵の宿、野中温泉別館は駐車場の隣にある。
冷え切った体を温め、極楽で一日を〆る(笑)

(補足)
ここの温泉はお勧め!(日帰り温泉あり)部屋もきれいで食事もグー!
お世話になりました。


【談】スタート時は曇りだったのに途中から霧雨にかわり、辺り一面真っ白な世界になってしまいました。足元の高山植物が慰めてくれたのが救い。この日の登山者は私を含めて4組、静かなものでした。オンネトーコースは歩きやすいので野営場まで周回をしてオンネトーの素晴らしい景観をぜひ楽しんでください。

★雄阿寒岳はこちら
★雌阿寒岳〜阿寒富士はこちら

<参考コースタイム>

◆行程時間:/約4時間50分(オンネトー野営場での休憩40分を含む)

◆登山形式:周回
雌阿寒温泉口 6合目 雌阿寒岳 阿寒富士への分岐 5合目 オンネトー口 野営場 雌阿寒温泉
7時50分 9時 9時45分(休憩5分) 10時10分 10時30分 11時15分 11時20分-12時 12時40分

コース紹介マップ
雌阿寒岳☆国土地理院地形図

<見所>
・エゾアカマツの原生林
・メアカンの名を冠したメアカンフスマ、メアカンキンバイなどの高山植物
・雌阿寒岳の赤沼、青沼(この日は展望なし)
・オンネトーの眺め


<注意点>
・山頂の火山ガスには注意しましょう。
・山頂で滞留しないように。


<アプローチ>
阿寒湖から雌阿寒温泉まで車で約20分。

<立ち寄りスポット> 湯の滝

オンネトー野営場の隣。トイレのある駐車場に車を置いて、30分ほど歩きます。
雌阿寒岳から噴出した溶岩流の亀裂から湧き出た温泉で、滝の高さは50mほど、国の天然記念物に指定されています。
ここでエゾジカなど思わぬ野生動物と出会えるかも。


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