登山日記
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 苗場山(なえばさん2,145m)祓川コース 平成23年8月13日 晴れ

まえがき・・・苗場山は、新潟県と長野県の県境にまたがるどっしりとした量感あふれる雄大な山で、山頂付近の600ヘクタールに及ぶ高層湿原には、大小無数の池塘が水をたたえ、コバイケイソウ、チングルマ、ワタスゲ、キンコウカなどの美しい高山植物が群生している。


【写真】登山口のレストランかぐらと和田小屋

前日の12日に湯沢町に到着し、予約してあった三俣の民宿に入る前に登山口の偵察をしておく。
登山口となる和田小屋から20分ほど歩いて下ったところに一般者用の駐車場(トイレあり)があるが、和田小屋を利用する者は小屋まで車を乗り入れることができる。早朝の出発になるので和田小屋のスタッフに車をとめさせてもらえるよう事前にお願いしておく。
翌朝、夜が明ける前に民宿「元湯 弥八」のご主人に見送られて出発する。
ゴンドラリフトの終点「レストランかぐら」の前に車を止めて、5時少し前にスタートする。


【写真】登山カードPOST


和田小屋のすぐ前から登山道がはじまる。
登山者カードを入れるポストと熊にご注意!の看板がよく目立つ。
はじめは広々とした緑のゲレンデの中を歩いていく。



【写真】樹林帯の登り

やがてブナなどの落葉樹林帯の中に敷かれた木道を歩いていくと、今度はゴロゴロの石だらけの道にかわる。


【写真】下ノ芝

1時間ほどゴロゴロ道を登るとコメツガと笹原が広がる下ノ芝に着く。
木製の休憩コーナーに腰を下ろし、民宿でこしらえてもらった朝弁をいただく。
これがとってもおいしくて、特に漬物のミズナスは最高だった!山では漬物が大のご馳走になる。



【写真】中ノ芝で、ベニヒカゲ

下ノ芝からまた樹林帯の中のゴロゴロ石の道を登っていくと中ノ芝に着く。
ここも絶好の展望地で谷川岳、巻機山方面が見える。
高山蝶のベニヒカゲが人懐っこくて服によくとまる。どうやら汗に反応しているようだ。(写真は下りで)


【写真】上ノ芝から神楽ケ峰へ


ニッコウキスゲの咲く木道を登っていくと上ノ芝。
その先で小松原への分岐を過ぎ、股スリ岩でお尻をしこたま打って、展望の良い神楽ケ峰に着く。
この辺りからお花の種類が多くなる。
 
 トリアシショウマ、ニッコウキスゲ、ミヤマコゴメグサ、オニアザミ、タテヤマウツボグサ

 キオン、ウメバチソウ、オヤマリンドウ、エゾシオガマなど



【写真】苗場山

神楽ケ峰の上に立ってみると苗場山が見える。
富士見坂を下っていく途中ではすっかり苗場山の全貌が現れる。ガイド本でよく見るアングルだ。
この苗場山は地元の湯沢町や苗場町から見えないほどの奥山なのだ。


【写真】雷清水で

坂を下った鞍部に清水がある。。
手勺で水を飲んでみると、これが冷たくておいしい。
帰りはペットボトルに水を入れる人で列ができていた。
清水から鞍部を歩いていくとお花畑に着く。
花の百名山にも選ばれるだけあって花の種類が多い。



【写真】お花畑


写真はヒメシャジン、タカネナデシコ、ハクサントリカブト、シモツケソウ、マルバダケブキ
他にもヤマハハコ、ウスユキソウ、ハクサンフウロ、シロウマオウギ、ハクサンオミナエシ(コキンレイカ)など



【写真】雲尾坂を登って山頂へ

花畑を過ぎると息が切れるほどの雲尾坂を登って、ようやく山頂部に出る。
この山の頂上は南北に約4Km、東西約1Kmの湿原が広がっていて、まさに高原のようなのだ。
 

【写真】木道歩いて頂上へ

湿原には木道が敷かれていて、点在する池塘と高山植物のワタスゲの中を歩いていく。
ピークは休業中の山小屋「遊仙閣」の隣にある。
 

   
【写真】平坦な頂上

8:20、苗場山に到着。
誰もいないのでお互いに記念写真をとってから自然体験交流センター(苗場山頂ヒュッテ)へ移動する。
   
   
【写真】自然体験交流センター(苗場山頂ヒュッテ)前、キベリタテハ、オオシラビソの実

自然体験交流センター(苗場山頂ヒュッテ)前のベンチで本格的な食事タイム。
展望がよく、何時間でも座っていられるほど快適だ。
食事をしているとキベリタテハが近くに飛んできた。
翅は小豆色で周囲が黄金色のテープで縁取られとても美しい蝶。
岐阜市ではなかなかお目にかかれないが、この山では登山口でも見かけた。
蔵王のモンスターで有名なオオシラビソは藍色の大きな実をつけていた。
毎年たくさんの実をつけるわけではなく生り年の周期があるらしい。
食事を終えたら次は散策。

   
   山頂部を歩く
   
 
湿原にはキンコウカやワタスゲの花が咲いて、まさに雲上の楽園。
池塘を歩いていると大きな岩の上に役行者の名前があった。この楽園には修験者も訪れたのだ。
時間の流れがゆったりで、ずっと眺めていても飽きない景色だ。
ときおりキアゲハが楽しそうに舞う。キアゲハは生まれは高山ではないので高山蝶とは言わないが、夏は3000m級の山まで上がってくるのでびっくりしてしまうことがある。

下りは同じ道を戻り、急斜面の雲尾坂をひと下りすると9合目のお花畑、そして神楽ケ坂まで登り返し、中ノ芝からゴロゴロ石の登山道をおりて和田小屋に12時40分に着いた。
お約束どおり、和田小屋でソーメンとコーヒーをいただいていると天気が崩れてきて大雨に。
急いで民宿「元湯 弥八」に戻り天然温泉に浸かってから、明日の目的地「武尊山」の登山口「花咲温泉」へ移動した。 
   
   
【談】
苗場山は湿原の山なのでゆるやかな登りを想像していましたが、案外きつい山でした。
高層湿原で癒されたい方に超お勧めの山です。日程にゆとりのある方は山頂で泊まって日の出から一日を楽しんでください(^_^)/

☆苗場山☆国土地理院地形図
  ☆コース紹介マップ 
   
★2日目の武尊山へ

<参考コースタイム>

◆行程時間:/7時間40分(休憩含む)、登り3時間25分、下り3時間

登山口 下ノ芝 神楽ケ峰 苗場山 神楽ケ峰 下ノ芝 登山口
4:55 5:50 7:15 8:20-9:40 10:40 12:00 12:40


<ポイント>
・登山道は整備されていますが、朝露などで木道や石が滑りやすい。
・谷川岳をはじめ、この周囲の山は天候が変わりやすく、行動は早めにしましょう。

<アプローチ>
関越自動車道湯沢ICで下りて17号線を苗場方面に向かい、かぐらスキー場を目指して和田小屋に行きます。和田小屋は宿泊ができる施設で、休憩などで利用すれば車をとめることができます(トイレは100円)。小屋を利用しない場合は、その下の一般者用駐車場に止めます。ここから和田小屋まで歩いて20分。トイレあり。
<補足>岐阜市からは、東海北陸自動車道→北陸自動車道→関越自動車道を利用した方がわずかに早いです。

<苗場山頂ヒュッテ>
宿泊予約はこちら(予約をしないと全ての料金が+500円になるとか)

<三俣の宿泊先>
民宿「元湯 弥八」(三俣観光協会HP)
一泊二食7000円〜
建物は古くて一見ギョッとしましたが、温泉は源泉掛け流しでとてもきれいな内湯で大満足!食事も地元の食材をふんだんに使ったおいしい手料理でした!部屋は古い和室ばかり。
また朝食はお弁当を頼んでおくと、おにぎりとおかずを用意してくださいます。
老夫婦が営んでいますので商売っ気まったくなし。登山後の入浴も無料でした(^o^)/
※三俣の民宿街はスキー客頼み?で夏場は休業中のような廃れた風情。詳しいHPもないような古い宿泊施設が多いです。


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