登山日記
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夜叉ケ池(1,099m)&夜叉ケ丸(1,212m) 平成22年11月6日 快晴

まえがき・・・夜叉ケ池の紅葉ウォチングは実に7年ぶり。年々登山者が増えていると聞く。絶滅危惧種に指定されているヤシャゲンゴロウに再びお目にかかれるだろうか・・・


【写真】標高780mの登山口


岐阜市の自宅を6時頃出発し、303号線を坂内村まで走る。
川上集落を過ぎ、「夜叉ケ池」の指導標を右折して池ノ又林道を走れば終点の夜叉ケ池登山口。林道の幅員が狭いので対向車がある帰り道は慎重を要す。
渓流沿いの紅葉が素晴らしいが、脇見運転はご法度。
駐車場は40台位で、到着が遅くなると長蛇の路駐となる。
駐車場から離れた場所にトイレあり。
8時20分スタート。




登山口から一旦下って、沢に架けられた板橋を二度渡る。
渓流沿いの道は爽快で冷気に身が引き締まる思いだ。





やがて沢から離れて黄葉したブナの道をゆく。
足元には赤や黄やカラフルな落ち葉がいっぱい。
サクサクと音を立てて歩くのが小気味良い。




雪の重みで大きく湾曲した杉の木。





登山道から前方に険しい山並みが見えてくる。夜叉壁だ。
あの稜線まで上がると夜叉ケ池。
たかだか1000mそこそこの山とは思えないほどダイナミックな景観にいつも圧倒される。




ブナ林の美しい紅葉の中を気持ちよく歩いていく。
ブナって特別な樹木だと思う。
どうしてこんなに癒されるのか・・・他の樹木にはない何かをもっている。





湾曲したブナの幹に熊の爪あとらしきものが・・・と想像をたくましくしてそっと触れてみる。

幽玄の滝 昇竜の滝


登山口から50分ほどで最初の滝「幽玄の滝」に着く。
夜叉姫が身を清めたといわれる滝だ。
この滝の存在は長い間分からなかったそうだが、登山道の開発で見つかったそうだ。

2つ目の滝は、その先の右手の岩壁から流れ落ちる「昇竜の滝」。
こちらも流れ落ちる様子が美しい。





昇竜の滝が流れ落ちる岩壁は、ロッククライマー垂涎の壁のようにみえるが、実際誰も登っていないということは壁までのアプローチに難があるのか又はクライミング向けの岩壁ではないということかな?・・・・といつも思う。




昇竜の滝を見納めるとこの先から最大の難所に入る。
夜叉壁の左鞍部に出る急坂の岩に取り付くのだが、湧き出してくる水で道が濡れていて滑りやすい。
ファミリーが多い人気コースなのでところどころ固定ロープが取り付けられてある。





稜線が目の前に見えてきたら足場のよいところで一度振り返って見よう。
登ってきた谷間の紅葉が楽しめる。



草つきの斜面を登りきったところが県境(岐阜と福井)の稜線上。
この稜線は分水嶺にもなっている。
稜線に立つと眼下に夜叉ケ池が眺められる。
7年前にきた時にはなかった観察道が取り付けられていた。





夜叉ケ池は後回しにして、先に夜叉ケ丸へ向かう。
岩場の急登から笹薮に突入し15分ほどで1212mの夜叉ケ丸に着く。




山頂は笹藪が小さく切り開かれているだけで座ったりしようものなら何も見えなくなる。
休憩をとるなら夜叉ケ池まで下りた方がよさそうだ。





下りで三周ヶ岳のピークを前方に見据え、夜叉ケ池を眼下に納める。


【写真】ヤシャゲンゴロウが生息する夜叉ケ池


夜叉ケ池に着くと新しく設置された観察道の一角で登山者がランチをとっていた。以前は池の近くまで行くことができたが今は木でこさえた観察道から眺めることしかできない。これも絶滅危惧種に指定されているヤシャゲンゴロウの保護のためだ。
毎度お馴染みのパトロール隊が福井県側から上がってきて登山者にチラシを配りながらマナーの啓発を行っていた。
タバコはもちろんのこと、火気厳禁だというのでガスも使えない。
温かい飲み物はテルモスに入れてくることだ。
観察道から小さなヤシャゲンゴロウが水面をすいすい泳いでいるのを見つけ、今年も見つけられたという満足感で腰を上げる。

【ヤシャゲンゴロウ】

形態:15〜16ミリ
生息地の条件:清澄な池で、汚水が流入せず、低温であること
学術的意義:国内では夜叉ケ池にしか生息せず、隔離された地点での固有種として生物地理学的に貴重
えさ(幼虫期):ミジンコ、ボーフラ等
えさ(成虫期):モリアオガエルの幼生、イモリ、カエル等
産卵:5月末〜7月初めに枯れ木の窪み、水草の根元などに産み付ける。1匹のメスの年間産卵数は約23個。約9日で孵化。孵化より羽化まで23〜28日。
その他:飛んでいる姿は目撃されておらず、生息地の転移や拡大の可能性は低い。
※資料提供・・・夜叉ケ池パトロール隊のビラ






下りは次から次へと登ってくる登山者に道を譲りながら、
のんびりとブナに癒されつつ夜叉壁を後にした





(談)
きょうは秋山を堪能した一日でした。入門者向け推奨ナンバー1のコースです(^-^)

☆コース紹介マップ
   ☆夜叉ケ池☆国土地理院1/25000地形図 
  ☆新緑の時はこちら 

夜叉ケ池

標高:1099m、池の周囲:230m、水深:深いところで7.7m、周囲はブナ(樹齢100年)を主体にした広葉樹林

<参考コースタイム>

◆8時20分スタート、12時40分帰着

登山口 幽玄の滝 昇竜の滝 夜叉ケ池 夜叉ケ丸 夜叉ケ池 登山口
8:20 9:15 9:25 9:40 9:55-10:05 10:20-11:10 12:40


◆登山形式:往復登山

<見所>
1、登山道から見上げる鎧のような夜叉壁
2、夜叉ケ丸から見下ろす紺碧の夜叉ケ池

<注意点>

  • 坂内川左岸の林道を走るときは、幅員が狭いので対向車に注意すること!
  • 夜叉ケ池までは枝沢が豊富なので、雨の日などは道が滑りやすくなるので注意。
  • この季節は、時として冬山の様相に変わるので手袋、帽子、防寒服など装備を万事怠りなく!

<アプローチ>

岐阜市から303号線を坂内村へ。川上集落を過ぎ、「夜叉ケ池」の指導標が立っているところが池ノ又林道の入口で右折します。あとは道なりですが幅員が狭いので対向車がくると慎重を要します。40台ほどの駐車場、離れたところにトイレあります。


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