登山日記
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奥穂高〜ジャンダルム〜西穂高岳縦走 平成15年9月27日・28日 晴れ
2日目


奥穂高へ【写真】穂高岳山荘から奥穂高へ向かうコース上から撮影

5時45分
穂高岳山荘前のテラスでご来光を待ってから、奥穂高岳へ出発。

さすがにメインルートだけあって早朝から渋滞。
登りのクサリ場やハシゴでは順番待ちになる。







奥穂高岳【写真】銀座状態の奥穂高岳

6時23分
標高3190m
奥穂高岳

前穂高、西穂高への分岐点でもある。
ブロッケン現象が現れ、みんな大騒ぎ。記念撮影には時間がかかりそうだったので、長居はせずジャンダルムへ。6時28分



憧れのジャンダルム【写真】ジャンダルムがガスの中から現れる瞬間

いよいよ憧れのジャンダルムへ向かうとあって、少し興奮気味。
先発陣を目で追うと、ガスの切れ間からジャンダルムが少しずつその姿を現してきた。







ジャンダルム【写真】最初は馬の背からスリリングな旅が始まる(丸い頭の岩峰がジャンダルム)

最初の難所である馬の背を目指して、岩場を下っていく。
目が慣れない内は、飛騨側と信州側のスッパリ切れ落ちた岩稜が視界に入ってきて落ち着かない(~~;A












馬の背【写真】馬の背をカニ歩きで慎重に下っていく

馬の背はナイフエッジになっているので、ホールドをしっかり確保してカニ歩きのように足を横に移動させていく。











馬の背後を振り返れば、馬乗りになって下りてくる人も・・・

馬の背からは、クサリ場を登ってロバの耳に出る。
この時、前を行く男子学生二人のうち一人が落石を起こして、前を下っていたご夫婦のご主人の頭を直撃してしまった。
鮮血が頭から噴き出してなかなか止まらない。
岩にはおびただしい血の跡が・・・
一瞬、ヘリ出動か!とたじろいだが、幸い止血して事なきを得た?ようだった(想像だけど・・・)

あやうく大惨事になるところだった。
落石は一つ間違えれば「死」。自分が落としても、自分に落ちてきても悲惨な結果となる。
昨日も北穂〜涸沢岳の稜線で落石事故があり、3人が怪我をしてヘリで運ばれたと聞いたばかりだった。



ロバの耳【写真】頂上に慰霊碑のあるロバの耳に登ってみる(後方は槍ヶ岳)

ロバの耳で、昨年穂高岳山荘で出会った単独の女性と偶然にもまた出あう。お互い言葉にはならない「あー!」で暗黙の了解をしてしまった(^-^)
ロバの耳にも行ってきたら?という言葉でちょっと立寄ってみる。
慰霊碑が祀られていた。






ジャンダルム【写真】ジャンダルムに人が立っているのが見える

ロバの耳からは、いよいよジャンダルムへ!
急な岩稜のクサリ場を下ってやせ尾根におりると、今度はジャンダルムの信州側を巻いて登る。
一段登ったところで左に行くと天狗岳への分岐。
ここでザックをデポしてジャンダルムの山頂へ・・・

左手の飛騨側から岩壁を登って山頂に出る。
落石騒動のご夫婦も元気よく登ってこられた(^-^;Aよかった、よかった。。。








ジャンダルム山頂【写真】念願のジャンダルムに立つ(バックは槍ヶ岳)

7時30分
標高3163m
ジャンダルム

夢にまでみたジャンダルムの山頂に立って、有頂天!
山頂からは右を見ても、左を見ても垂涎の山ばかり。
リーダーのMさんは、上半身裸のムキムキポーズ。
山頂にいる人はみんなその肉体美に見惚れていた(^o^)

天狗岳〜間ノ岳〜西穂高

ジャンダルム山頂から、
天狗岳〜間ノ岳〜西穂高のダイナミックな稜線が・・・まだまだ旅は始まったばかりなのだ。

7時45分にデポしておいたザックのところへ戻る。











ジャンダルムからの下り

ジャンダルムからは、険しい岩場を下って天狗のコルへ・・・







天狗のコルへ下る

天狗のコルへの下りで、ちょっと余裕を見せてみる(^-^)V










天狗のコル

天狗のコル・・・かつては避難小屋があったが今はない。
ここから岳沢ヒュッテへ下ることができる。
天候不順、体調不良の場合はここからエスケープをする。

次ぎは天狗岳へ・・・





天狗岳直下の登りでは・・・
取付き90度の角度の天狗岳へは、靴底のフリクション(摩擦)を使って登る。クサリにはできるだけたよらず三点支持の原則で。
天狗岳


8時58分
標高2909m
天狗岳

パノラマ展望を満喫して、間ノ岳へ。
9時15分




逆層スラブ

逆層スラブの長い下りでは、フリクション(靴底の摩擦)を効かせて、ゆっくり下る。
岩溝の手がかりも多いので、クサリを上手に使って体を岩から離せば難なくこなせる。

間天のコルに下ったら、小ピークを二つ越して間ノ岳へ。










間ノ岳へ向かう途中の突き上げた2つの岩峰(これには登らない)の信州側をトラバースしていく。
道は浮石が多く、ルートも見間違いやすい。
落石も頻繁に起こるので、注意して歩く。
足をひねったりするのもこういう浮石での事故が多い。









間ノ岳直下の登り

間ノ岳直下のクサリ場。











間ノ岳

9時45分
標高2907m
間ノ岳

山頂表示がなければ知らずに通過してしまいそう・・・








間ノ岳の下り

間ノ岳直下のガレガレの岩場をコルへ下りる。
浮石が多く、落石に注意を払わなければならない。

写真クリックで拡大





西穂高

いよいよ最後の山場・・・西穂高へ
コルからは狭い岩棚のトラバース。ここも難所なので注意が必要。
つづいて信州側にでて長いクサリを登る。
ハイマツにおおわれたナイフエッジの岩稜を登ったところが西穂高。












西穂高

10時36分
標高2908m
西穂高

ふ〜、やれやれ。。。。やっと西穂高山頂。これで難所の通過はとりあえず終わった・・・って感じかな。緊張感から解放されて水をえた魚のように元気になってくる(^-^)
ここでお昼休憩。
馬の背で落石をおこした学生さんと「西穂独標で握手をしようね」といって先立ちをする。11時20分


ピラミッドピーク

11時50分
ピラミッドピーク







独標

12時6分
標高2701m
西穂独標

団体ツアー客で銀座状態(=_=)
約束した学生さんたちはまだ当分来る気配がない・・・
写真だけとって通過する。





西穂山荘

12時45分
西穂高山荘に着きました〜
やった〜〜\(^o^)/ \(^o^)/ \(^o^)/
昨日一日我慢していたビールでMさんと乾杯!
う〜〜〜ん、このおいしさと充実感、たまらない!!
山を始めてこんなにも大きな達成感を味わったのは初めてだ。

感慨もひとしおの中、団体さんに追い越されないよう山荘をあとにする。
13時 山荘出発
13時55分 ロープウェーのりば着
14時50分 村営駐車場着
【個人的な見解】

今回、奥穂高から西穂高へコースをとってみてわかったことですが、難易度の高い馬の背〜ロバの耳〜ジャンダルムを体力のある早い段階にこなして、天狗岳からの逆層スラブ、間ノ岳周辺のガレバを通過して西穂高に到着しておけば、ここでかなり体力を消耗していても残りの行程が西穂山荘まで下り調子になるので、何とかなるということです。
ジャンダルムをこなして振り返ったとき、又天狗岳を下りて振り返ったとき、いずれもこれを登りにとるのは「ごめんだ!」と正直思いました。しかも消耗度の激しい後半にこれをこなすには体力、脚力に余裕がないときついです。
また、ガイドブック等にこのコースが破線になっているのは、行程時間が7〜8時間かかるにも関わらず、途中山小屋がないため疲労あるいは日没を迎えた場合、ビバークになるからです。
またおいそれと引き返したり、簡単に救助を頼むこともできません。人為的な落石も頻繁にありました。いつ自分が加害者、被害者になるかわからないのも事実です。

今回のジャンダルム縦走では、Mさんの多大なるお力添えがあったことを心から感謝して、ここに加筆させていただきましたm(__)m
また、岩登りの訓練を指導してくださいました大垣山岳協会のリーダーの皆さん、本当にありがとうございましたm(__)m

1日目・・・白出沢から穂高岳山荘へ
コース紹介マップ

<参考コースタイム>

5時45分:穂高岳山荘出発
6時23分:奥穂高岳 6時28分:奥穂高岳出発
7時30分:ジャンダルム 7時40分ジャンダルム出発
8時58分:天狗岳 9時15分:天狗岳出発
9時45分:間ノ岳 
10時36分:西穂高岳 11時20分:西穂高岳出発
12時6分:独標 
12時45分:西穂山荘 13時山荘:出発
13時55分:ロープウェー乗車
14時50分:村営無料駐車場着

【穂高岳山荘〜西穂山荘までの時間】
・歩行時間:5時間46分、行程時間:7時間


◆登山形式:周回登山
コース紹介マップ

<注意点>

  • 初心者だけでこのコースを縦走するのは無理。かならず経験者の同行と岩登りの基本的な技術を事前に学んでからチャレンジしてください!


<日帰り入浴>

【 山荘富貴 】
入浴者も少なく静かで、露天風呂からは錫丈岳がよく見える。
新穂高第2ロープウェーの「しらかばだいら」へ行く途中に坂道にある。
料金:700円
石鹸、シャンプー、リンスあり。タオル持参のこと。


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