登山日記
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■五竜岳(2,814m)〜唐松岳(2,696m)縦走 平成14年9月14・15日曇り時々小雨
五竜テレキャビン【写真】 テレキャビンとおみ駅とアルプス平

当初の予定では、五竜岳〜八峰キレット〜鹿島槍ヶ岳を2泊3日で縦走し、この名峰を心ゆくまで堪能する計画であった。

天気に一抹の不安を抱きながらも岐阜を3時に出発し、始発8時30分の五竜テレキャビンに間に合うよう乗り込む。
アルプス平で長〜い(&遅い~~;)リフトに乗り継ぎ、すっかり体が冷え切って地蔵の頭駅に到着。8時50分「寒さで鳥肌」のスタートとなった。

見返り坂【写真】見返り坂

地蔵ノ頭に立つケルンからほどなく15分程で見返り坂に着く。
名前の通り、ふり返れば眼下に白馬村がひろがり、きょうの唯一の眺望となる(この時点では明日を期待していた)

樹林帯の尾根道を小遠見山へ向かう。小遠見山からは「鹿島槍の眺め良し」とあるが、ガスで数m先の視界もない。

大遠見山【写真】大遠見山(すぐ下に大遠見池)

小遠見山からは細長い中遠見山の山頂部を進み、一旦鞍部に下り、また大遠見山へのきつい登りにかかる。
左に池が見えてきたら大遠見。
平らになっているので休憩地によい。
大遠見山の先で湿地状のなかを抜け、一面ガスの西遠見ノ池を右に見過ごしながら西遠見のやせた鞍部を通過すると、いよいよ白岳への登りにかかる。
このコース上では、西遠見山〜白岳への登りが最も息が切れる。

五竜山荘【写真】五竜山荘

白岳から少し下ると唐松岳〜五竜岳の縦走路に合わさり、すぐその下が今宵の宿・五竜山荘である。
1時30分の到着で、早くも部屋は満室の様相。
ぞくぞくと到着する登山客を指折り数え、300人はあろうか?最終的には2人に1枚の布団となったが、その晩の寝苦しさは過去の山小屋泊まりの中でも最悪だった(;0;)

二日目
五竜岳への稜線
【写真】五竜岳へ続く稜線(白岳から)


朝5時半に山荘をスタートし、小雨混じりのガスの中を五竜岳に向かう。
この時点ではまだ八峰キレット〜鹿島槍へ向かう予定で出発をしたので、全員が重いザックを背負っていた。

五竜岳にはG2とかG5とか呼ぶピーク名があるが、それはグラート(岩尾根)からきていて、岩稜ルート開拓期の名残だそうだ。五竜岳はG3にあたる。
山荘をバックにしながら、大きな岩峰を黒部側に巻いて登っていく。
頭上にはG0,G2ノ頭の岩峰がおおいかぶさるように屹立し、ジグザグを切りながら高度を上げていく。頂上直下の濡れたクサリ場の通過に神経を集中する。



縦走路の分岐【写真】八峰キレットと五竜岳への分岐

短いクサリ場を過ぎたら、八峰キレット方面への指導標が立つ分岐にでる。
ここに重いザックを置き、50m先の五竜岳へ向かう。
男性的な山容の五竜岳山頂に立つが、小雨とガスで全く眺望はなし。


五竜岳【写真】五竜岳山頂

山頂で、【晴れてきそうならキレット〜鹿島槍へ、このまま変化もなさそうなら五竜テレキャビンまで戻る】の選択を迫られ、結局三人一致で昨日きた道をピストンで戻ることに決めた。Uターンして五竜山荘へ下るのだが、これがまた岩場で大渋滞!
さもあろう、昨夜300人が宿泊していたのだから・・・

ところが、ところが、この先・・・・また、予定変更となるのだ(^-^)

シラタマノキ【写真】朝露に濡れるシラタマノキ

一旦、五竜山荘に戻り、遅めの朝食をとっていると、次第に西の空からガスが切れ始めてきたではないか!
こんなことなら八峰キレットへ進めばよかった!と三人が思った筈。ところがもうすでに時遅し。今さら重いザックを背負ってまたあの銀座状態の五竜岳まで向かう気力はない。
で、このままピストンで五竜テレキャビンまで戻るのは惜しい!ということで唐松岳を目指すことに急遽予定変更した。

唐松岳へのクサリ場通過【写真】クサリ場の通過

腹ごしらえも済んで、8時45分に五竜山荘を出発。
唐松岳へのおだやかなハイマツ帯を進む。イワヒバリの遊ぶ姿を見ながら歩ける気持ちのよい稜線歩きだ。
時々ガスが切れて、お駄賃に剱岳がちょこっと顔を出す。ふり返れば五竜の姿が雄大なのだろうが、今日のところは夢まぼろしに終わりそうな気配だ。
コマクサ


大黒岳の急な登りと下りで一旦鞍部におりる。
途中の白い砂礫地にコマクサがまだ群生して咲いていた。
誰もがふと足を止めてしまいたくなるほど魅力のある花だ・・・

枯れてもコマクサ
唐松山荘【写真】唐松岳頂上山荘(牛首ノ頭から)

いよいよ牛首ノ頭のクサリ場を過ぎて回り込むと唐松岳頂上山荘が下に見えてくる。
赤い小屋の入口に「眠雲臥石」と書かれた文字に味わいがある。
ここで軽めの昼食とし、ベンチで一休みしていると、なんと目の前を市毛良枝さんが歩いていくではないか!!
山岳雑誌の取材か?個人山行か?知る由もないが、カメラマンとスタッフ5人ほどのグループで小1時間程の休憩の後、五竜方面へ向かわれた。

市毛良枝さん

妙に感心したのは、登山者の誰もが市毛さんとわかっても騒がないことだった。実際、思わずシャッターを押したのは私だけだった(^o^A;冷や汗もの



唐松岳稜線【写真】唐松岳の稜線(牛首ノ頭から)

唐松岳へは、山荘前にザックを置いて10分も歩けば簡単に着く。
山荘前の砂礫地にもコマクサあり(ほぼ終焉)


唐松岳【写真】唐松岳

唐松岳からの眺めは晴れていれば天下一品!
北に白馬三山、南に五竜、鹿島槍ヶ岳、やや南西に剱岳、立山三山が一望できる。

唐松岳頂上山荘からは八方尾根を下り、八方池山荘からリフトを乗り継いでゴンドラアダムで山麓駅へ。ここからはタクシーを呼び、車の置いてある五竜テレキャビンまで戻った。(タクシー代3,070円)

唐松岳からの素晴らしい眺めと八方尾根からの下りはこちらを参照
(談)
山は眺望だけが醍醐味ではない・・・と頭では分かっていても、この五竜〜鹿島の稜線上からの眺めはやはり期待せずにはおれない(~~; 心残りの鹿島槍ヶ岳は天気を見ての仕切り直しとなった。
コース紹介MAP
■登山道で出合ったお花たち
五竜登山口〜五竜山荘 【写真】オヤマリンドウ(花は開かない)
ムラサキリンドウ、アキノキリンソウ、シラタマノキ、ウサギギク、ゴゼンタチバナの赤い実、ナナカマドの赤い実、マイズルソウの実、ベニバナイチゴの実、ミヤマセンキュウ、ヤマハハコ、オニアザミ
唐松山荘〜八方池周辺 【写真】ハクサンシャジン(釣鐘みたいで可愛い)
ミヤマリンドウ、ミヤマシシウド、カライトソウ、マツムシソウ、ウメバチソウ、ワレモコウ、オオヒョウタンボクの赤い実、ミヤマトリカブト、オニアザミ

<参考コースタイム>

◆一日目(8時30分スタート、13時30分着)
(1)五竜テレキャビンとおみ駅(8分)アルプス平駅(10分)地蔵ノ頭駅
(2)地蔵ノ頭(1時間)小遠見山(1時間)大遠見山(2時間)五竜山荘

・歩行時間 4時間
・行程時間 5時間

◆二日目(5時30分スタート、16時30分着)
(1)五竜山荘(1時間)分岐(5分)五竜岳(5分)分岐(1時間)五竜山荘
(2)五竜山荘(2時間10分)唐松岳頂上山荘(10分)唐松岳(10分)唐松岳頂上山荘(2時間15分)八方池山荘
(3)グラートクワッド(8分)アルペンクワッド(7分)ゴンドラアダム(8分)山麓駅

・歩行時間 6時間55分
・行程時間 11時間

登山形式:周回登山
コース紹介MAP

<見所>
1、小遠見山からの鹿島槍ヶ岳(今回はガスで見れませんでした)
2、五竜岳から眺めるパノラマ風景(今回はガスで見れませんでした)
3、唐松岳から眺めるパノラマ風景(今回はガスで見れませんでした)
4、八方池に映る白馬三山(今回はガスで見れませんでした)

<注意点>

  • 五竜岳へは岩稜の道が続くので、細心の注意を払いながら浮石に気を付ける
  • コースで人とすれ違う時は、必ず山側にしがみつく
  • 唐松岳頂上山荘へ下る牛首ノ頭のクサリ場は注意する


<アプローチ>

中央高速「豊科IC」で下り、新しくできたバイパスを大町方面へ走る(R147号線でもよい)
大町市からは指導標に従って、R148号線を白馬へ向かう。木崎湖、青木湖を過ぎたら、道の駅白馬を右に見て、その先の信号「五竜」を左折。後は道なりに進めば五竜テレキャビン乗場に着く。
無料駐車場に車をとめておき、帰りは下山した場所からタクシーを呼んでもらう。

<お世話になった山小屋〜五竜山荘

  • 標高:2490m
  • 収容人数:300人
  • 営業期間:4/下旬〜10月中旬
  • 電話(白馬館):0261-72-2002
  • 一泊二食付:8,600円
  • テント場:30張
  • 宿泊者水無料、乾燥室、自炊室あり

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