登山日記
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 伊吹山(いぶきやま 1,377m)上野コース 平成24年6月17日 雨のち晴れ

まえがき・・・伊吹山は、滋賀県と岐阜県の県境にあり、日本百名山、新花の百名山にも選定されている。薬草の山として昔から知られ、山麓から山頂にかけて様々な植物が次から次へと咲き変わり、その数は約1,300種類を数えるという。コイブキアザミ などの9種の固有種があり、イブキという名を冠にした植物も多い。


【写真】登山口の上野集落

関市のメンバーに岐阜市の我が家までお迎えしてもらい、登山口の上野集落に8時20分頃到着する。
三之宮神社のすぐ左にある民家の駐車場に車を入れ500円を払う。
神社の右隣にある駐車場は1000円だった。
身支度をして登山口へ向かう。
上野集落から登るのは実に8年ぶりのことで、前回はスキー場のゴンドラを利用している。



【写真】1合目の伊吹高原旅館、イボタノキ、桑の実


くねくねと湿った登山道を30分も登っていくと車道と出あい、1合目の伊吹高原旅館に着く。
少し登ると右手にきれいなトイレがある。
さらにまっすぐ高原の中を進んでいくとイボタノキが白い花をつけていた。このイボタノキにイボタロウムシがつくと、その成虫の♂が分泌する蝋物質を採取して、ローソクの原料や戸の滑りをよくするために使われる。 現在でも「いぼた蝋」という名前で市販されていて木製品などの艶出しに利用されている。
野生?の桑の木には熟した黒い実がいくつかなっていた。
子どもの頃競って食べ、誰の舌が一番真っ青か比べっこしたものだった。


【写真】琵琶湖が一望、キバナノレンリソウ、ホタルカズラ

南斜面の高原の中を登って行くと、琵琶湖が眼下に見えてくる。
雲が重くてすっきりしないが、それでも小さな島が点在するのがわかる。
足を進めていくと、キバナノレンリソウを見つける。鮮やかなレモンイエローなのですぐに目にとまる。
その昔、織田信長がポルトガルの宣教師に命じ、伊吹山に薬草園を開いた際に持ち込まれたと言われるヨーロッパからの帰化植物である。
他にホタルカズラの瑠璃色がとってもきれい。ホタルというよりも☆のような形をしている。



【写真】3合目、アヤメ、エゾフウロ

3合目にやっと到着!ここにもきれいなトイレが完備されている。
草原が広がり周辺にはロープが張ってある。保護区内ではアヤメやエゾフウロがちらほらと咲いていた。
エゾフウロはハクサンフウロに似ているが、ハクサンフウロはほとんど無毛なのに対しエゾフウロはガクなどにヒゲのような長い毛がある。ただ中間的なものも多いので区別は難しい。


【写真】キバナハタザオ群生地、イブキノエンドウ、白いオドリコソウ

4合目からはその先で大きく右に折れる。
登山道脇にはアブラ菜に似たキバナハタザオの群生が見られる。
他にカラスノエンドウかと見間違えるほどよく似たイブキノエンドウや、白い花のオドリコソウがかわいらしい花をつけていた。このオドリコソウの花をよ〜く眺めてみると本当に踊り子のように見えてくるから面白い(^-^)



【写真】5合目、イブキシモツケ、クサタチバナ

5合目はガスの中。ベンチがたくさんあるのでここで一休みする。
5合目から先の登山道には白い花のシモツケの一つであるイブキシモツケが見られる。
コデマリのような花だ。またクサタチバナの白い花は樹木のタチバナに似た花を咲かせる。


【写真】8合目のベンチ、ウスバシロチョウ(下りで撮影)、コバノミミナグサ


ひたすら登りが続いた後、8合目のベンチで一息つく。ガスが濃くたちこめて周囲の展望は望めない。
8合目から先では足元にグンナイフウロやコバノミミナグサが姿を現し始める。
下りでは午後からガスが上がってきたのでウスバシロチョウが何頭も飛来して、花の蜜を吸う姿が観察できた。



【写真】伊吹山頂、ヒメレンゲ、黄色の花粉をつけたグンナイフウロ

順に花を愛でながら、ゆっくりと足を進めていくといつしか伊吹山の山頂に12:30到着する。
日本武尊の像がある山頂で記念撮影をしてから、営業小屋の中でお楽しみのランチタイムに。
営業小屋の主人はとても親切で、何も注文しなくてもテーブルを利用していいよと声をかけてくださった。
お言葉に甘えて、みんなで持ち寄った手料理を広げて舌鼓。
店内にはたくさんの花の写真が飾ってあったので、きょう撮影した花の写真を一つずつ同定していった。
 

【写真】下りの8合目からの雲海、5合目へくだる九十九折れの道、伊吹高原

長休憩をしたら13:50同じ道を下って上野登山口へ下る。
午後からガスは次第にとれてきて、8合目のベンチから眺める雲海がとても素晴らしかった。
また5合目から九十九折れの登山道を登ってくる団体さんの姿もしっかりととらえることができた。
ガスがとれた伊吹高原は一面お花畑で、南斜面に広がる草原を下るのはとても爽快な気分だった。
でも、これから夏に向けて気温が高くなってくると、カンカン照りの南斜面を歩くのは地獄かもしれない(^0^)
花を楽しむだけなら雨後や曇りの日を狙うのがベターかも。
16:15登山口着


   ★コース上で出合った他のお花たち★

ヒヨクソウ、ヒメフウロ(写真)、サワギク、ヤマタツナミソウ(花付きがまばら)、グンバイナズナ、ウツギ、スイカズラ、マユミ、コマユミ、ハクサンハタザオ、シモツケソウ、ニリンソウ、ウマノアシガタ、カラマツソウなど他にも多数


【談】

南斜面につけられた上野コースを歩いたのは8年前の厳寒期(1月)だったので、初夏の6月はお花の種類が多くて驚きました。
何年後かに登り返してみると目線も知識も変わっているので感じ方も変わります。山って本当に素晴らしいですね(^-^)/

☆コース紹介マップ
☆伊吹山☆国土地理院地形図

<参考コースタイム>

◆行程時間:/7時間30分(登り3時間45分、下り2時間25分)

上野登山口 3合目 8合目 山頂 8合目 3合目 上野登山口
8:45 10:20 11:50 12:30−13:50 14:15 15:15 16:15


<ポイント>
・伊吹高原からの琵琶湖展望
・2合目〜3合目あたりのお花ばたけ
・5合目から山頂までのお花ばたけ
・この時期、ウスバシロチョウの群舞が見られます

<注意点>
・5合目、1合目からの下りはところどころスリップしやすい
・保護区内に入らない

<アプローチ>
岐阜市からは、R21号線を関ケ原に向かいます。
伊吹山ドライブウエーの信号左折、次の信号(伊吹山の標識あり)を右折、後は案内看板に従って進みます。
以前スキー場があった上野集落には駐車場がたくさんあります。
駐車料金は登山口に近いところが1000円、少し離れると500円。

<日帰り温泉>
伊吹薬草の里 「薬草湯」 
500円。シャンプー、リンスあり。


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