舟伏山(1,040m) 平成23年11月5日 曇り後雨 | |
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まえがき・・・百々ケ峰の三田洞展望台から北西に広がる山並を眺めると、舟をひっくりかえしたような山がみえる。それが舟伏山である。11年ぶりにもう一度紅葉が見たくなり訪れることに・・・ |
![]() 【写真】登山口 岐阜市からR256を北上して美山方面へ向かい、R418と合流したら根尾方面へ左折し、しばらく道なりに走る。武儀川と神崎川が出合う地点にかかる橋を渡ったら神崎方面の県道に入る。 神崎集落に入ると左手に「舟伏山登山口」と書かれたゲートから夏坂林道へ入る。 林道は車が1台走れる程度の幅で、現在治山工事によるトラックの往来があり運転には注意が必要。 林道の行き止まりが駐車場で、水場のところに東ルートの登山口がある。 西ルートの登山口は駐車場から少し戻ったところに案内板が立っているのですぐわかる。 ★案内板拡大図 |
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![]() 【写真】杉の人工林 登山口を入り、人工林の杉林を登っていく。 よく手入れされているので山の中は明るい。林床にはシロモジ、クロモジなどの低木が生えている。 |
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![]() 【写真】ムラサキシキブとミカエリソウ 湿った道の脇にはミカエリソウの群落があり、花はどれも終焉をむかえていたが一輪だけ登山口のところに咲いていたので写真を撮っておく。これもほとんど落花していて頭部に少しだけ花が残っていた。 きれいな花なので思わず見返してしまうことから「見返草」という。 シソ科テンニンソウ属で花が咲いていなければフジテンニンソウにそっくり。 図鑑によるとミカエリソウは亜低木又は半低木で、一見草のようだが茎は木質化している。 似ているテンニンソウやフジテンニンソウは草本で、花の色は淡黄色、ミカエリソウは淡紅色なので花が咲いているときは分かりやすい。 ムラサキシキブの実も鮮やかな紫色で、森の中でよく映える。毛虫がとことこお散歩中。 |
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![]() 【写真】ヒノキの尾根 杉林を抜けるとヒノキの植林地に変わり、落葉広葉樹の森へと変化していく。 シラキの美しい紅葉が視界に飛び込んできた。 あまり聞きなれない名前だが山ではよく見かけ、紅葉ベスト3に入るほど色のグラデーションが美しい。 足元にはシロモジの赤ちゃんがたくましく育っていた。 |
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![]() 【写真】桜峠 登山口から約一時間ほどで十方施玉仏のある桜峠。ここで小休止。 枯れた木にキヅタが巻きついて実をいっぱいつけていた。 冬でも青々と葉っぱをつけているので冬蔦(フユヅタ)ともいう。 翌年の春に実は黒くなり、冬鳥のレンジャク類が渡去前に好んで食べにくる。 |
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![]() 【写真】みのわ平 桜峠から先はゆるやかに道を九十九折れに登っていく。 ハウチワカエデ、ヤマモミジ、イタヤカエデ、シロモジ、シラキ、アカメガシワなどが黄、橙、赤色に色づき目を楽しませてくれる。 みのわ平に着くとここでは休まず先へ進む。 |
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![]() 【写真】コクサギとメグスリノキ みのわ平から少し先でコクサギを見つけた。 葉っぱが2枚ずつ反対交互になったおもしろい木で、匂いが臭いのでコクサギという。 この木はアルカロイドが含まれているため煎じた液を駆虫剤として使用する。 さらに進むと、今度は真っ赤に色づいた木が目に飛び込んできた。 落ち葉を拾ってみると、三枚葉のメグスリノキ(カエデ科)だった。舟伏山でお目にかかれるとはびっくり! 昔から樹皮を煎じた液で目を洗浄したことから目薬の木と呼ばれるようになった。 図鑑によると宮城から九州に分布するが個体数が少なく、特に北陸や近畿以西には極めて少ない、とある。 この舟伏山では東ルートでも西ルートでも自生していたので、貴重な山といえる。 |
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樹木の種類が多彩できょろきょろしながら歩いていると、じきに山頂へ到着。 山頂はひろびろとしていて、晴れていれば金華山や百々ケ峰などの展望が楽しめるのだが、きょうはあいにくと視界が悪い。ザックをおいて周囲を散策していると男性の登山者が3人上がってこられた。 |
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![]() 【写真】山頂 山頂周辺にも高木から低木まで多彩な樹木があり、名前をあげたらキリがないほど。 ホオノキは葉っぱが大きいだけあって冬芽も一際大きくそそり立ち、近くにはブナ、イタヤカエデ、ミズメの木が三角形に立っている。 このミズメは別名「梓 あずさ」ともいい、皇太子殿下(浩宮様)のお印の木でもある。山の中を歩いていて桜の木肌に似た木を見つけたらこのミズメ(ミズメザクラともいう:カバノキ科)かも知れない。 クマシデの実は少し触っただけでハラハラとおちてしまったので、風散布のお手伝いをしてあげる。 |
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![]() 【写真】西ルートへ 山頂からの下りは西ルートをとる。 マユミの赤い実がぶら下がっていてかわいらしかった。 急な下りを慎重におりてゆるやかな歩きにかわったところで、キブシの新芽(花芽)を見つける。 実はつけていないので雄木の雄花のようだ。 フシがつく名前の木の実は五倍子(フシ)と同様黒色の染料がとれる。 |
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![]() 【写真】メギ(目木) 西ルートにもメグスリノキがあり、紅葉が鮮やかだった。 下層を見ると、赤い実が見えた。メギだ!漢字で目木と書く。 メグスリノキと同様、葉や樹皮の煎じ汁を目の洗浄に使ったようだ。 葉っぱの出ているところに棘があるので別名コトリトマラズともいう。この棘は葉っぱが変化しもの。 きょうは目に関係のある木によく出合う。 |
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![]() 【写真】展望台へ ゆるやかな尾根歩きから九十九折に下ってくると展望台と書かれた案内板が立っていたので立ち寄ってみる。 視界が悪い割りには近場の山が見えた。 |
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![]() 【写真】沢まで下る 展望台から人工林の中をうねうねと下って沢に出る。 このあたりからパラパラと雨が降り出した。 石ころだらけで道が分かりにくい箇所があったが、誰かが積んでおいてくれたケルンが道標になった。 |
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![]() 【写真】西ルート入口、トイレ、フサザクラ 舗装された道に出たら急ぎ足で西ルートの入口まで歩く。トイレの前を通過したところで水場の近くに立っていたフサザクラを見つけ、撮影してから車に飛び込んだ。やれやれ、なんとかずぶ濡れにならずにすんだ! このフサザクラは日本では一科一属一種が分布するのみでカツラやヤマグルマ同様、原始的な特徴を持っている「生きた化石」といわれる木だ。春、花は葉っぱに先立って房状に咲くのでフサザクラという。 来年こそ、まだ見ぬこの花を見てみたいものだ。 |
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(談) いつもはピークハントが主流になってしまい、見逃しがちな植物を今日はゆっくりと観察することができたので大収穫でした。これから舟伏山は目薬の山と呼びます(^-^) |
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☆コース紹介マップ | |
☆舟伏山☆国土地理院地形図 |
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<参考コースタイム>
<見所> <注意点>
<アプローチ> |