登山日記
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明神山 乳岩コース(1,016m) 平成21年11月15日 晴れ
明神山
まえがき・・・奥三河の山陵の中で一際高く聳え立つ三ツ瀬明神山。コース上に巨岩が多くクサリ場、鉄梯子、やせ尾根など変化に富んでいるのでハイカーには面白い山だ。また鬼岩(鬼石)はフリークライマーたちのメッカとして県内外から訪れる人が多い。


【写真】乳岩峡の入口


明神山はちょうど9年前の12月に三ツ瀬登山口から登ったことがある。
山頂まで2時間ほどの楽なコースだった。
今回は名勝「乳岩峡」から入山し、帰りに乳岩巡りを楽しんでみたい。
5時に美濃インター近くで4人が集合し、乳岩峡入口に7時15分頃に到着。
登山口はすでに満車状態で、県外からのナンバーが多いのに驚く。
スタートは乳岩川の流れに沿って桟敷岩の上を歩いていく。岩が濡れていると滑りやすい。


【写真】天竜奥三河国定公園・名勝天然記念物「乳岩」の標示板


慎重に足を進めていくと「名勝天然記念物・乳岩」の標示が現れる。
その先には趣のある入仙橋が架かり、乳岩が頭を出している。




【写真】乳岩分岐


橋を渡り沢の流れに沿って進むと、乳岩巡りと明神山との分岐点につく。
乳岩巡りは帰りにして、先に明神山を目指す。


【写真】3人が消えた場所


暑くなってきたので、一枚岩に木の渡し橋が架けてある場所で(乳岩分岐から10分)、上着を脱ぐために仲間3人に先に行ってもらう。
ザックに上着をいれてすぐに歩き始めたが、歩けど歩けど仲間に追いつかない。上着をザックに入れていた時間はほんの1〜2分なので追いつかない筈がない。上着を入れたポイントで「←明神山」と書かれた赤い指導標を目の隅に入れたおいた。私を驚かせようと思って速く歩いているのだろうか・・・。試しに「お〜い」と呼んでみると「お〜い」と返事が返ってきた。声が遠い、どうも離れてしまったようだ。はて?3人ともこんなに健脚だっけ・・・ともかく急がなくっちゃ!玉のような汗をカキカキせっせと登る(アセル、焦る)。また「お〜い」と呼んでみると「お〜い・・・ほにゃらら」と何か叫んでいる。「う・・・ん?おかしい・・・ぞ」。その声は道の上からではなく、右手の沢の方角から聞こえてくる。私が道を間違えたのかもしれないと思い、Uターンして分かれたポイントまで下ることにした。
かなり下までおりたところで登ってきたクライマーと出会い、この道は正しいかどうか確認したら間違いないという。ついでに途中で迷いやすい分岐はなかったかどうか聞くと『ない』と言われた。はて???仲間の3人は一体どこへ消えたのか・・・。今度は「お〜い」と呼んでも返事が返ってこなくなってしまった!
神隠しにあったみたいだ!こういう時は携帯で呼び出すに限るあ〜あ、きょうに限って携帯忘れたんだっけ〜
ここは冷静になろう。思い返せば「分かれたあの場所」から3人が迷い込むような分岐道はなかった筈だ、自分がやっぱり遅れているだけで東の沢の方から聞こえた声は幻聴かもしれないと思い直し、また登り返して鬼岩まで行くことにした。頭の中は走馬灯のように分かれてからの出来事がぐるぐる回る。
休憩場所の一 服の岩を過ぎたら、ジグザグに高度を稼ぎ、やがて乳岩川の渡渉に出合う。
この渡渉地点で確信した。3人は私が気づかなかったどこかの分岐で神隠しにあい、今頃軌道修正してこちらに向かっているのではないか、、、それなら鬼岩で待っていようっと!



【写真】鬼岩(鬼石)へ


乳岩川を渡り、清流に沿って歩いていくと大きな岩が見えてくる。
あれがフリークラーマーのメッカ鬼岩(鬼石)らしい。
鬼岩ではフリークライマーたちが順番を待ちながら練習に励んでいた。
すごいなぁ・・・と感心しながら待っていると、仲間の3人がニタニタしながらやっと追いついてきた。
神隠しの原因は、「分かれたあのポイント」で彼女たち(男性1名あり)は直進してしまったらしい。おしゃべりしながら歩いていたので左上にある赤い指導標を見落としたのだ。もし、あの時上着を脱がなかったら私も釣られて迷い道に入ってしまったかもしれない。
下りで神隠しの検証をする



【写真】フリークライミングの練習中(傘岩)

やっと4人全員が揃ったところで再スタート。
鬼岩を回りこんで薄暗い杉林を進むと、オーバーハングの巨岩があった。こちらも相当な人気ぶりで、待っている人のほうが多い。




【写真】巨岩の下をくぐる(写真は下りで)

傘岩からウラジロやコシダが林床に繁茂する雑木林をジグザグに登っていくと鬼岩乗越に着く。ここから山頂方面を見るとピーク状のトンガリが見える。馬の背岩あたりか。
乗越からは巨岩を巻いたり、くぐったりすると胸突八丁の入口に着く。


【写真】胸突八丁


胸突八丁からは息が上がるような急登がはじまる。
ひたすら高度を稼ぐだけで展望もないが、周囲にはホソバシャクナゲの群生地があり、花の時期にはピンク色に染まるようだ。またサラサドウダンの紅葉した葉も点在していた。


【写真】三ツ瀬登山口からの合流点(6合目)


25分ほどで胸突八丁を登りきると顕著な尾根に出て道はなだらかになる。
やがて三ツ瀬登山口からの合流点とぶつかる。ここから山頂までは9年前に歩いた同じ道をゆく。




【写真】クサリ場の連続

巨岩のクサリ場を登りきったところが7合目。
さらにその先の大岩に掛けられたクサリ場をこなして、馬の背岩にかかった鉄梯子の下に出る。


【写真】馬の背岩の鉄梯子を登る仲間/馬の背岩通過/鳳来湖・鳳来寺山方面


馬の背岩の鉄梯子を登ると一気に視界が開け、西の眼下に鳳来湖が見える。鳳来寺山はどの山だろう・・・。
9年前にびびった馬の背岩が今では広い道に見える。
経験を積むとはこういう感覚のことだ、と思う。
鳳来湖を眺めたら、山頂まではあと一登り。




【写真】明神山頂


馬の背岩から10分の登りで明神山頂。
赤い2階建て展望台は健在だ。
さっそく階段を登ってみると、やや雲が多いものの南アルプス、中央アルプスの山並みがきれいに見え、富士山も白い頭をちょこんとのぞかせていた。
9年という歳月が流れても眺める景色はまったく変わっていない。変わったのはこちらが齢食ったくらいか、、、まさに自然は悠然としている。
山頂で1時間ほどのんびり過ごしてから往路を戻る。
鬼岩では朝よりもさらにクライマーの数が増えていて、順番を待っている人で溢れていた。
途中神隠しにあったというポイントで検証を行い、乳岩巡りをしてから2時45分頃駐車場へ着いた。

乳岩巡り



【写真】乳岩の胎内巡り 20分


左/昇り口の鉄階段とその先に鉄梯子が続く
中/通天洞
右/通天門から見える山

(補足)フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
乳岩峡(ちいわきょう)は愛知県新城市(旧鳳来町)に位置し全長4kmにおよぶ峡谷。
国の名勝及び天然記念物(昭和9年指定)。
名前の由来はこの峡谷のシンボルでもある乳岩山で、標高670mにも及ぶ岩山。一帯を乳岩と呼ぶ。近くには洞窟が多く見られ、最大の乳岩洞窟は胎内くぐりを楽しむことができ、子安観音が祀られている。また、河床は平坦な一枚岩で形成され、表面が滑らかである。



(談)
明神山は登山者よりもフリークライマーたちのほうが多かったです。私にとって明神山は『神隠しの山』として記憶に刻印されました(^o^)皆さんも足元ばかり見ていないで、顔を上げて歩きましょうね!

コース紹介マップ
明神山☆国土地理院地形図

<参考コースタイム>

◆ 登山形式:往復登山
歩行時間 5時間40分(乳岩巡り35分含む)

登山口 乳岩分岐 鬼岩 三津瀬分岐 明神山 三津瀬分岐 鬼岩 乳岩分岐から乳岩巡り 登山口
7:45 8:00 8:45 10:00 10:40-12:00 12:30 13:10 14:00-14:35 14:45


<見所>

  • 乳岩巡りをはじめとする巨岩
  • 乳岩峡の景観
  • スリリングなクサリ場、鉄梯子などを楽しみたい方にはうってつけ


<注意点>

岩場が多いので行動は慎重に。また入口の乳岩峡の岩が凍っていると滑りやすいので注意が必要。

<アプローチ>

東名高速豊川インターから国道151号線を北上し、愛知県民の森を過ぎ乳岩峡の案内板に従って左折すると乳岩峡入口の駐車場に着きます。
入口の駐車場が満車の場合は手前に第2駐車場があります。入口にトイレ完備。


<下山後の入浴>
名号温泉「うめの湯700円(木曜休み) 国道151号線沿い。
補足:石鹸、シャンプーあり。タオル持参のこと。


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