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 白山(2,702m)平瀬道〜木の実・草の実観察コース 平成21年9月9日 晴れ
白山
まえがき・・・白山の平瀬道は、登山口の標高が約1,240m、最高峰・御前峰(2,702m)との標高差が1,500mもある。標高が上がるにつれ、森林の垂直分布はブナ林からダケカンバ林、ハイマツ帯へと変化していくので様々な植生が楽しめる。きょうは「花より団子」をテーマに木の実、草の実を観察しながら歩いてみよう。


【写真】白山平瀬道登山口

7時過ぎに平瀬道の登山口に着くと入口近くの駐車場はすでにいっぱいだった。奥のトイレ前の大駐車場はガラガラだったのでそちらに止める。
身支度をして、7時30分にスタート。




【写真】登山口の休憩所と階段状の道


登山口にある休憩所で登山届を出す。
道は階段状の登りがしばらく続く。
ブナ帯の下層にはさまざまな樹木や草が生えている。
視線の先は登山道よりも、木の実や草の実を探してキョロキョロしてしまう。





あった、あった!まず最初に見つけたのがヤマブドウとツリバナの実。サルナシはマタタビの仲間で生食できる。

左.ツリバナの実。まだ未熟なので青い
中.ヤマブドウ。黒紫色になったら食べごろ
右.サルナシ。野生のキウイで表面にシワができたら食べごろ。美味らしい(まだ食べたことがない)


【写真】ブナ林の道

ブナが叢生している美しい登山道を歩く。
観察しながら歩いているので、登りでもいつもよりは辛くない。

標高1800m辺りまでは歩くたびに実をつけた樹木や草に出合うのでなかなか前には進めない。






左.ムシカリ(オオカメノキ)の赤い実。やがて赤から黒い実に変わる。表面にツヤがある
中.ミズキの黒い実。ムシカリと混生しているので間違えやすいが実の先端に孔があって小ぶり
右.マルバマンサクの実。熟すと口が割れて2つの黒い種が飛び出す




左.タムシバの赤い実、形がグロテスク(モクレン類の樹皮は有毒)
中.ツノハシバミの実、まだ青くて食べられない、残念
右.ミヤマシシウドの紫色の種子、花火みたいでとってもきれい



【写真】ツルニンジン

キキョウ科のツルニンジン。
葉っぱをちぎって匂いをかぐと無茶くさい。
しばらく匂いがとれないほど強烈 >(0o0)<
根っこが太くて朝鮮人参に似ていることが名前の由来。
ネマガリダケのササ葉に巻きついていた。
そのすぐそばに小さな黒い花をつけるクロバナヒキオコシが咲いていた。


【写真】白山御前峰と剣ケ峰

尾根に出ると白山の最高峰、御前峰と剣ケ峰が見える。
いつもの立ち位置から眺めるお馴染みの光景だが、毎回ため息がでるほど美しい。
ガスがどんどん上がっていくので、まもなく晴れてくるだろう。



【写真】大倉避難小屋


大倉山の手前で花の撮影をしていた「ふれあいの森案内人」のNさん、Sさんに出あう。
白山に登るのは初めてだというNさんは少ししんどそう。
一緒に三人そろって大倉山避難小屋に到着。
小屋で室堂から下山されてきたグループと会話を楽しむ。
10分もいたら体が冷えてきたので、一足先に一人で出発する。

尾根道を一旦下り、次のポイントのカンクラ雪渓へ向かう。
樹林帯の中には草の実がたくさんある。




左.ハリブキの赤い実。この頃になると葉っぱのトゲがほとんど見られない
中.トリカブトの袋果。独特の形でおもしろい。全草有毒
右.オオバスノキ(たぶん。葉っぱが尖っている)の黒い実。酸味がある



左.ミヤマホツツジの実。花柱がくるっと上に曲がる(ホツツジの花柱はまっすぐ)
中.ミネカエデの実。2枚の翼をもった種子が総状につく
右.ヤハズハンノキの実。ハンノキの実はどれも似ているので葉っぱで見分ける。葉っぱの真ん中がへこんでいる


【写真】三方崩山と北アルプス

樹林帯を抜け、開けたポイントに出ると三方崩山が大きく聳え立ち、奥には槍ヶ岳〜穂高連峰、乗鞍岳や御嶽山の山並みが広がっている。
この日もすばらしい展望に恵まれたことに感謝したい!





【写真】カンクラ雪渓

10時10分カンクラ雪渓に着く。
7月の早い時期だと、カンクラ雪渓の見事な雪渓が見られる。
登山道にもこの辺りはまだ残雪が残っている。
少し腹ごしらえをしてエネルギーを補給しておく。

カンクラ雪渓から室堂までは尾根道を登っていく。
荒々しい樹形をしたダケカンバを見ることができる。



左.タカネマツムシソウの種子、花みたいにかわいい
中.オオヒョウタンボクの赤い実、食べるとねっとりして後味が悪く吐き出した(どの図鑑にも食べられるとは書かれてない。ヒョウタンボクは有毒で鳥も食べない)
右.マイズルソウの実、うずらの卵のような模様をしているがいずれ赤くなる



【写真】別山と高山植物帯


カンクラ雪渓を右手に見ながら尾根道を登りきってしまうと室堂平に着く。
広々とした草原の南に別山が鎮座している。
この室堂平ではさまざまな植物群を見ることができる。



左.クロマメノキの実。熟すと黒紫色になり白粉をかぶったようになる。野生のブルーベリー
中.ウラジロナナカマドの立ち上がった赤い実。実の先端に星型の窪みがある。有毒
右.室堂平で紅葉が始まったオンタデ




左.シラタマノキの白い実。実をつぶすとサロメチールの匂いがする
中.シラタマノキのピンクの実
右.ガンコウランの黒い実、味はまぁまぁ



左.コバイケイソウの青い実、全草有毒
中.ミヤマクロユリの刮ハ
右.野生動物を撮影するための設置カメラ



【写真】室堂

室堂平の植物群を観察しながら歩いているうちに室堂についてしまう。
ビジターセンターの赤い屋根を見るとまた戻ってきたよという気分になりほっとする。



【写真】白山頂上

ザックをデポして白山御前峰まで足を伸ばす。
登り30分、下り20分の道のりだ。
平日のせいか、御前峰には誰もいない。ガスが上がってきて北アルプス方面の展望はあまりよくない。
写真だけ撮って早々に室堂へ戻る。
ビジターセンター前のベンチで後から到着したNさん、Sさんが先にお食事中。
合流して一緒に食事をとる。
しかし、きょうの室堂はかなり冷え込む。
気温10度位ではないかと思うが、体が冷えない内にNさん、Sさんが御前峰へ向かう。
また一人になってしまったのでビジターセンター内に入り、食堂のカウンター越しに別山を眺めながらココアを飲もうと思い立つ。
一等席で飲むココアは格別美味しい。



【写真】Nさん、お昼ね

別山の展望を満喫したら、そろそろ下山しようとビジターセンターを出ると、ベンチでお昼ね中のNさんを発見!
でも、Sさんはいない。
途中でNさんだけUターンされたらしい。
『ゆっくりと休んでください』と心の中で話しかけ、室堂を後にした。

下りは登りと違う角度で植物を眺めることができるので、登りとは別の木の実・草の実を撮影することができた。
紹介はすでに上述ずみ。
「花より団子」コースは試食も兼ねて、楽しい一日だった。



(談)
3年連続で白山に足を運びました。何度登っても新しい発見ができる山です。今回はお花よりも木の実や草の実を重点的に観察しながら登りました。自然の豊かさにますます惚れ込み、来年もまた来ようと誓った白山でした!

コース紹介マップ
白山☆国土地理院地形図

<参考コースタイム>

1日の歩行時間 約7時間
1日の行程時間 約8時間
登山口 避難小屋 カンクラ雪渓 室堂 御前峰 室堂 カンクラ雪渓 避難小屋 登山口
7時30分 9時15分(15分休憩) 10時10分 10時50分 往復50分 12時45分 13時30分 14時15分(10分休憩) 15時40分

◆登山形式:往復登山

<見所>

  • 大倉尾根上や登山道にはたくさんの樹木、草本類があり、木の実や草の実が楽しめます。
  • 尾根からは北アルプス、乗鞍岳、御嶽山が眺められ、歓声も。

<注意点>

  • 尾根上の登山道で一部損壊している箇所があります。
  • 白山は午後からガスが出やすいので午前中に行動をすませておくこと。


<アプローチ>

東海北陸自動車道の荘川ICを下りて御母衣ダム方面へ北上。御母衣ダムを過ぎるとまもなく大白川ダムへ通じる県道白山公園線の入口があります(標識あり)。
この白山公園線は、夏山シーズン中でも落石で通行止めになることが多いので事前チェックが必要です。

<下山後の入浴>

荘川温泉「桜香の湯」 荘川ICのすぐそばの道の駅内 毎週水曜日はレディースデーで入浴料が700円→300円
(ご注意)登山口に近い「しらみずの湯」は水曜が定休日でした。


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