登山日記
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御嶽山飛騨頂上〜摩利支天山(2,959m) 平成20年9月10日 晴れ
御嶽山

まえがき・・・御嶽山に登るコースはいくつもあれど、岐阜県の濁河温泉から入る小坂口コースは、長野県側から入るコースよりも宗教色が薄く、登山道で白装束の登山者を見かけることはめったにない。登山口は苔むした樹林帯歩きから始まり、渓流の清音、野鳥のさえずり、北アルプスや白山の遠望を楽しみながら、飛騨頂上まで3時間ほどで着いてしまう。また森林限界を超えた時今までお預けをくらっていた展望が一気に開けるので、そのときの感動が忘れられず何度も足を運びたくなる。

【写真】小坂口コースのはじまり

国道41号線小坂町から濁河温泉まで、山あいの狭い道をくねくねと1時間余り走る。
サルの集団に出合うし、早朝の薄暗い時間帯だとノウサギの目が暗闇で光り、一人では心細くなる道だ。
対向車に気を遣いながら、やっとのことで濁河温泉の旅館街に入ると、あとは行き止まりまで走る。
町営駐車場に車をとめて、登山届をだしておく。
そばにはきれいなバイオトイレが置いてあるので女性にはうれしい。

届けを出したら、すぐに「嶽橋」を渡り、御嶽神社里宮を通過する。
かわいらしい七福神が祀られているので、福福しいお顔を拝顔しておこう(笑)。




登山口の入口に御嶽山から滲み出す水場がある。
下山時に顔や手を洗うとさっぱりして気持ちがいい。



【写真】登山道はここから始まる

里宮からすぐに登山道がはじまる。
石碑の並ぶ石垣の下に真っ白なキノコが群生していた。
「オシロイシメジ」かもしれない。食用になるが、有毒との報告もあるので食べない方が無難。

木道を進んでいくと「仙人滝」への分岐に出合う。
滝には向かわず、そのまま歩いていくとやがて落差30mの見事な仙人滝が落ちている様(さま)を左にみることができる。


【写真】草木谷にかかる橋を渡る

滝を過ぎるとまもなく鉄の吊り橋「仙人橋」を右岸に渡る。
下りはここで最後の休憩をとると疲れが癒される。





【写真】苔むした樹林帯の中へ

仙人橋を渡ったら苔むした樹林帯の中へ入っていく。
野鳥のさえずりが遠くから聞こえる。
コガラかヒガラのようだ。
姿を見ないとさえずりだけではなかなか見当がつかない。

登山口から45分ほどで「湯の花峠」に着く。
どこからともなく硫黄のにおいがしてくる。



【写真】ゴゼンタチバナの赤い実

湯の花峠からコメツガ、オオシラビソの樹林帯の中を登りつめていくと、「胡桃島キャンプ場」への道と出合う。
登山道には赤い実をつけたミズキ科のゴザンタチバナが目を引く。
たくさん実がなっているのに食べられないのが残念だ。

ここから5分程で「のぞき岩」に着く。
せっかくだからきょう登る摩利支天山を覗いておこう。




【写真】北アルプス遠望(三角の山は笠ガ岳)

のぞき岩から20分ほど登ると「お助け水」に着く。
そう書いてあっても小さな祠があるだけでお助けの水場はない。

お助け水からほどなく森林限界を超えるので視界が一気に開ける。
乗鞍岳や北アルプスの笠ガ岳がよく見えるし、振り返れば白山も遠望できる。



【写真】食べ散らかしたハイマツの実

森林限界を過ぎると登山道はハイマツ帯に変わる。
石の上に食べ散らかしたハイマツの実の残骸を見つけた。
ホシガラスの仕業だ。
そういえば、さっき飛び立った黒っぽい鳥の尻尾に白いラインがくっきり入っていたのを思い出す。
ホシガラスは留鳥なので、この辺りを縄張りにしているのだろう。




五の池小屋【写真】飛騨頂上の五ノ池小屋

残り一息で五ノ池小屋。
小屋の背後には飛騨頂上の社も建っている。

この五ノ池小屋は、御嶽山の中では一番早く、そして一番遅くまで営業している町営の小屋である。
ここで働く小屋人さんは、コマクサの保護を積極的におこなっている。
今夏の岐阜新聞にコマクサ群生地が復活したという記事が掲載された。
帰りに立ち寄ってコマクサを見ていこう。

三の池【写真】三ノ池

小屋前の五ノ池は干しあがっていたが、三ノ池は満々とコバルトブルーの水を湛えている。
いつ眺めても神秘的な池だ。
これが火口湖だとは信じられない。

五ノ池小屋で出合った女性と一緒に摩利支天山へ向かう。
3000m級の山は今日が初めてだという。
心細いので一緒に登ってほしいと頼まれ、話し相手ができて嬉しくなる。



摩利支天山【写真】摩利支天山への道

摩利支天山へは三ノ池から登りはじめる。
火山礫の道をジグザグに登っていく途中で、黄色い翅をした高山蝶を見かけた。
ベニヒカゲかコヒオドシだろうか?
一瞬だったのでよく分からなかった。




【写真】眼下にサイノ河原と最高峰の剣ケ峰が見える 


サイノ河原が見える分岐点に出ると、御嶽山最高峰の剣ケ峰の全容が現れびっくりする。周囲の継母岳や継子岳はもちろんのこと、北・中央・南アルプス、富士山、八ヶ岳など360度の展望が広がる。

また眼下にはサイノ河原が剣ケ峰までの間に大きく広がる。
ガス発生時は迷いそうだ。






摩利支天山【写真】2959mの摩利支天山(バックは最高峰の剣ケ峰) 

分岐点には御嶽神社の小社が建っていて、ここで最高峰の剣ケ峰と摩利支天山へ行く道が分岐している。

遅咲きのイワギキョウや夏の高山植物の残骸の中を20分ほど歩くと摩利支天山に着く。

瓦礫の上に三等三角点がある。
岩場をひと登りしてお連れさんが三角点にタッチ!
山頂はかなり狭い。
立てば、北島選手じゃないけど「気持ちいい〜!」って叫びたくなる。ひととおり展望を楽しんだら後続者に場所を譲り、元きた道を戻る。


コケモモ


登山道脇にコケモモの赤い実が鈴なり。
コケモモは生食ができ、果実酒やジャムにもできる。
一粒、二粒試食しても、たくさん採取しないでね(笑)。





【写真】下りから見る五ノ池小屋と継子岳 

分岐点まで戻り、五ノ池小屋で待つ女性の母親のもとへひとくだり。
小屋の後ろに聳える継子岳と北アルプスの広がりを眺めながらの下山は大変満足のいくもの。

このとてつもなくでかい御嶽山の山塊を余すところなく眺められるのは摩利支天山だけである。




五の池小屋 コマクサ
小屋人さん、お疲れさま〜 保護地のコマクサ(もう終焉)


(談)
御嶽山の飛騨頂上までは過去に7回登っていて、今回は2年ぶり8回目となりました。
濁河温泉から入るこの小坂口コースは、静かな山歩きが楽しめ、高山植物も豊富(6〜8月上旬)で、女性におすすめのコースです。
★コース紹介マップはこちら
★全体の概念図はこちら


濁河温泉コース上で出合ったお花たち

<参考コースタイム>

◆行程時間:/約7時間(歩行時間は6時間ほど)

◆登山形式:ピストン
小坂口 湯の花峠 のぞき岩 五の池小屋 摩利支天山 五の池小屋 のぞき岩 湯の花峠 小坂口
8時20分 9時5分 9時30分 10時55分 12時 12時45分|13時35分 14時30分 14時45分 15時20分


<見所>
・五の池小屋周辺の高山植物(6〜8月上旬)と三の池周回
・摩利支天山からの展望(北アルプス、中央アルプス、南アルプス、八ヶ岳、富士山・・・ぐるっとよく見えます)

<注意点>
・サイノ河原へ下りる際は、ガス発生時に注意しましょう。広いので迷います。
・五の池小屋からの下りでは、急ぐと膝が痛くなるのでご用心!


<アプローチ>
マイカー利用なら、 岐阜市から関〜金山線(飛騨街道)を抜け、41号線に合流したら下呂方面へ向かい、さらにその先の小坂町へ。小坂町に入ると「濁河温泉」の案内看板が出ているので、山の中の狭い道をくねくね1時間強走ります。温泉街のどんづまりが登山口です。


<日帰り温泉>
◆町営露天風呂(露天風呂のみ)
・入泉料:500円
・シャンプー、リンス持参のこと(ボデシャンのみあり)

<補足>ハイシーズンなどは登山口の駐車場が狭いので、すぐにいっぱいになります。
その場合は、この町営露天風呂の駐車場に停めさせてもらうといいでしょう。


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