登山日記
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宮之浦岳(1,935m) 平成20年5月15〜16日 晴れ

1日目(淀川口〜新高塚小屋)
宮之浦岳
まえがき・・・屋久島は雨が多い。とりわけ5月は、2日に一度は雨が降るという。その屋久島のほぼ真ん中に位置する宮之浦岳は、里のどの集落からも見えない。山並みがいくつも連なり、そこに1800mを超える山が8座、1000mを超える山が45座かたまっている。その中心にある宮之浦岳を縦走してみたいと、昨年から計画を立てていた。

淀川登山口
【写真】淀川(よどごう)登山口


屋久島へは前日飛行機で入り、白谷雲水峡を先に見物しておく。
2日目の朝、6時に安房の民宿へ配車してもらい、40分ほど走って淀川登山口へ入る。
途中、タチュウ岳の奇怪な岩が印象に残る。

登山口には、日帰り登山者用の登山届BOXとトイレがある。協力金一人500円を払って、7時にスタートする。





【写真】淀川(よどごう)小屋

しばらくは整備された木道と苔むした巨木の根っこの登山道が続く。
40分ほど、高低差の小さなアップダウンを繰り返して淀川小屋を通過する。
ちょうど地元学生(中学生か高校生)による小屋の清掃が行われていた。





【写真】1711mの高盤岳


小屋から鉄の橋で淀川を渡り、対岸の急な斜面を登り高盤岳から派生する尾根にとりつく。
登山道から高盤岳が見えてくる。
頂にスライスした岩のカマボコをのせたような山だ。




小花之江河
【写真】小花之江河
(こはなのえごう)


高盤岳の展望台を左にやり過ごし、下っていくと小花之江河という湿原に着く。
今までと景観がガラッと変わるので、大きな驚きがある。
湿原の中の木道を渡って、花之江河へ向かう。

花之江河では、4つの登山道が合流する。



花之江河
【写真】花之江河(はなのえごう)


花之江河に出ると目の前に黒味岳が広がる。
山頂に突き出した大きな巨岩がよく目立つ。
誰か人が立っているようだ。

宿で拵えていただいたおむすびを頬張っていると、ヤクシカが2頭やってきて湿原の中を横切っていった。
ヤクシカは自然体だ。
人間の方がつい構えてしまう。





【写真】黒味岳


花之江河の北から黒味岳の東側山腹を巻き気味に登る登山道に入る。
黒味岳分岐にきたところで、重いザックを下ろし、軽身で黒味岳へ向かう。

途中4本のロープを使って黒味岳山頂へ。
巨岩からなる黒味岳山頂からの展望は文句なし。
ぜひ、足を運んで欲しい。




【写真】あせびが満開の投石平(なげしだいら)
黒味岳分岐へ戻って、登山道をそのまま巻き気味に進んでいくと投石湿原の投石平に着く。
あせびが満開だ。こののどかな投石平で一服する登山者が多い。
残念ながら、ヤクシマシャクナゲのつぼみはまだ固い。



【写真】東の空に虹が・・・


投石平から登ると岩屋のある石ゴロ道を歩いていると東の空に虹が見えた。







翁岳直下の水場
【写真】翁岳直下の水場


安房岳を過ぎて下った鞍部が翁岳分岐だ。
水場がある。
いよいよ、ここから宮之浦岳への登りがはじまる。
前方に宮之浦岳が見えてきて、登頂意欲も湧いてくる。






【写真】宮之浦岳へ続くヤクザサの登山道


ヤクザサの草原帯の斜面をジグザクに登り、栗生(くりお)岳のピークを越えて最後の登りをこなすと九州最高峰の宮之浦岳だ。






【写真】宮之浦岳1935m
山頂からは、360度の展望が広がる。一等三角点もある。

里の集落から宮之浦岳が見えないということは、宮之浦岳からも里は見えない。
見えるのはいくつもの山並みと海だけだ。
とうとう屋久島の中心部に立ったぞー!

目の前の永田岳のギザギザ頭が登頂意欲をかき立てるが、すでに黒味岳をピストンしてきたので、余力がもう残っていない。



【写真】平石展望台の階段でたたずむ

宮之浦岳の山頂はあまりの暑さで日射病になりそうだった。
名残惜しいが、涼味を求めて下ることにした。
平石展望台まで下ると、涼風が心地よく、階段で立ち止まって景色を堪能する。






【写真】ヤクシマシャクナゲ


第二展望台あたりまでくるとヤクシマシャクナゲが咲いていた。
思わずシャッターを切る。
咲いている数は少ないが、被写体にはそれで十分だった。







【写真】新高塚小屋


第一展望台をやり過ごし、ヒメシャラの森を過ぎると今宵の宿・新高塚小屋に着く。
15時43分 到着

この時期は、満員で泊まれないこともあると聞いていたが、幸い20人(定員40人)程度で、まだ十分余裕があった。
トイレと水場は近くにある。

おんな二人、三岳のお湯割りで暖をとり、午後7時にはシュラフにもぐりこんだ。
※三岳(屋久島産の芋焼酎)という名前は、宮之浦岳、永田岳、栗生岳の三山を指すそうです。屋久島ではどこのお店も1人1本しか販売してもらえません。


2日目(新高塚小屋〜荒川口)

【写真】ヤクシカ


翌朝は、ヤクシカのおでましで清々しい朝をむかえる。
小屋の周辺に縄張りをもっているようだ。
人になついている様子が伺え、心無い登山者が餌付けをしているようだ。
野生の動物に絶対エサを与えてはならないことを学んでほしい。

朝食後、小屋の掃除を済ませ、一番最後に小屋を出る。
7時45分スタート



【写真】縄文杉の前に立つ


1時間ほど下ると高塚小屋に着く。
この小屋は古くて小さいので定員は20人ほど。
泊まった登山者に聞いたら、昨夜はすいていたそうだ。

高塚小屋から10分ほど下ると縄文杉。

←この写真

推定樹齢7200年といわれる。

う〜ん、実感がない。




【写真】人で賑わうウィルソン株


縄文杉からの下りから、屋久杉見物客がどんどん上がってきたので、途中巻き道(ウィルソン株へ出る散策路)へ逃げて、混雑を避ける。
それでもウィルソン株に出たら、見物客でごった返していて、ウィルソン株の中を拝見することなどできなかった。

GWに、一日1200人が入ったとタクシーの運転手が言われたことが、脳裏を横切った。
そろそろ、入場制限の時期にきているのかも・・・




【写真】トロッコ道を歩く


大株歩道の入口までくると、登山道はここで終わり、トロッコ道に変わる。

昔、材木を運んだトロッコの線路がそのまま残っていて、これが荒川口まで続いているのだ。





【写真】小杉谷にて


小杉谷の水の美しさに目を奪われ、トロッコ道をはずれて、谷のほとりに佇む。








【写真】小杉谷橋を渡ったらもう旅は終わりに近づく


荒川口へタクシーを3時に待たせてあるので、時間調整しながらトロッコ道へ戻る。
小杉谷橋を渡ったら、あとはだらだらと単調な道が続く。

山旅も終わりに近づいてくると、後ろ髪が引かれるようだ。
14時35分 荒川口帰着

無事宮之浦岳完走!
(談)
宮之浦岳縦走は大変心に残る山旅でした。
当初から雨に降られることは覚悟していたので、雨対策用グッズでザックは重く、道中ばててしまうのではないかと危惧していましたが、縦走中一度も雨に降られることもなく、素晴らしい山旅をプレゼントしてもらいました。
屋久島に再来する機会に恵まれれば、愛子岳、タチュウ岳、モッチョム岳にぜひとも登ってみたいですo(^-^)o

コース紹介マップ

<参考コースタイム>

◆歩行時間:1日目/約8時間40分(休憩含む)

淀川口 淀川小屋 花之江河 黒味岳分岐 宮之浦岳 新高塚小屋
7時 7時45分 9時20分 9時45分(黒味岳往復50分)10時45分 12時55分 15時40分

◆歩行時間:2日目/約6時間50分(休憩含む)

新高塚小屋 高塚小屋 縄文杉 ウィルソン株(散策路利用) 小杉谷集落跡 荒川口
7時45分 8時45分 8時55分 10時45分 13時55分 14時35分
コース紹介マップ


◆登山形式:縦走

<見所>
・黒味岳〜宮之浦岳からのパノラマ絶景。
・苔むした森林帯の歩き
・ヤクシマシャクナゲ、アセビ、ヒメシャラの群生
・奇怪な花崗岩のオブジェ
・樹齢ウン千年というヤクスギの巨木たち

<注意点>
●ストックを使われる方は、ゴムカバーを必ずつけてください。
●避難小屋はGW中、シャクナゲの時期(5月下旬〜6月上旬)は混雑します。早着きがおすすめ!
●ガスボンベを使われる方は、屋久島空港の売店及び近隣のショップでカートリッジが販売されています。使い残りはお店で回収してもらえます。
(ちなみに屋久島空港の売店にスノーピークはおいてありません。空港から宮之浦港方面へ5分走ったスーパー「サムズ」で販売しています)


<アプローチ>
安房から淀川口までタクシーで6000円程
安房から荒川口までタクシーで4500円程
淀川口からピストンされる方はレンタカーで入ると便利。


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