登山日記
登山日記のメニューへ

八ケ岳縦走(赤岳〜横岳〜硫黄岳) 平成15年4月27・28日 晴れ
1日目

まえがき・・・週半ばに八ケ岳山荘に電話を入れて美濃戸までの林道確認をした際には、車高の高い4WDしか入ることができないということだったので、美濃戸口から美濃戸まで歩くつもりでいたのだが、念のため前日の土曜日に今度は美濃戸のやまのこ村に電話確認をしたところ、連日の雨で普通乗用車でも入れますよという返事で「ラッキー!(^o^)」と喜び勇んで出かけた。

やまのこ村【写真】やまのこ村の駐車場と登山口

岐阜市を3時に出発、美濃戸のやまのこ村駐車場に6時30分に到着する。
このやまのこ村は今夜宿泊予定の「赤岳頂上小屋」と同じ経営者なので、小屋の宿泊領収書を帰りに見せれば500円返金してくれるというので、とりあえず2日分・2000円を払って7時にスタートをした。
登山口は、美濃戸山荘前から南沢コースをとる。


針葉樹林の登山道【写真】白樺、ダケカンバ、シラビソの樹林帯は幻想的

いつもなら登山口から、阿弥陀岳が大きく立ちはだかって「いらっしゃい!」と迎えてくれるのだが、きょうはガスっていて眺望はまったくない。
アイスバーンになった雪道で滑らないよう気をつけながら行者小屋に向かう。
今年は例年より雪が多いと聞いていたが、連日の大雨でかなり融雪がすすんだようだ。
でも、うっかり踏み跡のない雪面に足を踏み入れると股まではまってしまい、足を抜くのに一苦労をする。



行者小屋からの横岳【写真】ガスの切れ間から横岳が姿を現す(行者小屋から)

9時に行者小屋に到着。
小屋前のベンチで小休止をとりアイゼンをつけて足元を固めていると、前夜泊の登山者がぞくぞくと地蔵尾根から降りてきたので、昨日の天気を聞いたら「きのうもきょうも展望はまったくなしで、再度出直しです」といわれた。
「ふふふ。さもあろう〜。こちらは土曜休みにもかかわらず、天気とにらめっこをして、出発をわざと日曜に伸ばしたのだ」
次第にガスが切れ始め、行者小屋から横岳がその荒々しい姿を見せ始めた(^o^)V
みなさんの悔しそうな視線を浴びながら、文三郎尾根に向かう。(ごめんなさいね!)

鉄の階段【写真】鉄階段の連続

中岳沢と文三郎コースの分岐までたっぷりと雪があったが、分岐から先は急激に雪の量が減り、鉄階段にはほとんど雪はない状態だった。
階段の網にアイゼンの爪がひっかかり、歩きにくいことこの上ない。
しばらく様子を見ながらアイゼンをはずすキッカケをうかがっていたら、赤岳から下山してきた人がいたので、上部の状態を聞いてアイゼンをとりはずす。
足が軽くなったのはいいが、標高2700mを越えてくるといつもの「高山病」がはじまり、急激に心肺能力が落ちてくる。
きょうも例外はなし(~~;


行者小屋を俯瞰する
息遣いが荒くなってくると、登ってきた道を振り返って呼吸を整える。
行者小屋あたりを俯瞰すると、その高度感に胸がスーっとする。
遠望もきくようになり、はるか彼方に蓼科山も見えてきた。

この文三郎道は、ざれた赤土状の道で非常に滑りやすいので、鉄階段でしっかりと整備されている。
その昔行者小屋を経営していた文三郎さんが開いた道で、赤岳まで最短でいけるコースとしてよく知られている。
歩いてみてわかったことだが、確かにふくらはぎには堪えるが地蔵尾根よりも整備の状態がいいので安全かもしれない。



分岐【写真】中岳との分岐から阿弥陀岳を見る

行者小屋から1時間半で中岳・阿弥陀岳との分岐に出合う。
辺りのガスも切れはじめ、権現岳へ向かうキレット小屋から編笠山、西岳も確認することができるようになった。








横岳〜硫黄岳の稜線(文三郎道から) 左から三ツ頭・権現岳・ギボシ・右奥が編笠山



権現岳への分岐【写真】権現岳への分岐から赤岳を仰ぐ

中岳との分岐から少し登ると今度は権現岳への分岐に出合う。
上部を眺めると赤岳の荒々しい山頂部が現れる。
ここまできたら先が見えてきた。
慌てることはない。
もうそこには赤岳が待っているのだから・・・






2899mの赤岳山頂 今宵の宿・赤岳頂上小屋

クサリを使って岩場を一登りすると、赤岳。今年もまたやってきました!

空は晴れ渡り、南アルプスの甲斐駒ケ岳、仙丈ケ岳、北岳もハッキリと見えるし、八ケ岳連峰を南から最北部まで一つ一つ指差して確認することもできる(^-^)

お昼前に到着してしまったので、とりあえず小屋にチェックインをして、小屋前のベンチでのんびりスケッチをしながら、心ゆくまで八ケ岳を味わうことにした。

その晩は標高2899mに立つ頂上小屋泊まりで、はたして高度順応ができるかどうか不安だったが、ビールも食事もおいしくいただくことができた。

だけどやっぱり寒かった(~~; セーター持っていてよかった!
2日目

翌日目が覚めたら、頭ガンガン、胃はムカムカ。やっぱり予想通り高山病にかかっていた(~~;

赤岳展望荘【写真】標高を下げ、赤岳天望荘へ

前日小屋で知り合った青年ときょうは横岳〜硫黄岳まで同行しましょう〜と盛り上がっていたのに、こちらは気分が悪くて標高を一刻も早く下げたかったので6時20分に先立ちをする。
赤岳からの下りは要注意だ。
今年は雪がないのでまだ足場がしっかりしているが、これが雪とミックスになると四つん這いに下ることも余儀なくされることがある。
突風と戦いながら、2640m地点に建つ赤岳天望荘まで高度を下げたら、気分が急に楽になった(^-^)

横岳へとりつく【写真】横岳へとりつく

昨年山仲間が怪我をしたときに大変お世話になった天望荘にちょっと寄っていこうかと思ったが、時間が丁度朝の食事時で忙しい時間帯だったので、またにしよう!と思い直し、横岳へ向かう。
天望荘からは一旦下って地蔵尾根との分岐に出る。
大抵の登山者はここから行者小屋へ下りてしまう。
横岳に向かう者は単独の私とその先を歩いている男性の単独者だけである。






横岳のクサリ場【写真】クサリ場などの難所をこなして横岳へ(モデルは同行者の青年)

横岳の最初のとりつきは鉄階段で、雪のトラバース、その先のクサリ場、岩場の通過など連続して気が抜けない。
こちらからのコースは昨年に続き2回目なので、こんなんだったかな?と昨年と比較していたらあっさりと横岳に到着してしまった。
初物は緊張感があるけど、2回目、3回目はこんなものかもしれないと思う。
途中雪のトラバース道で、頂上小屋で同行しましょうねと話していた青年に追いつかれてしまった(^^ゞ
やっぱり若い人は違うっていうか、そもそも日頃の鍛え方が違うのかもしれない。

カモシカ【写真】カモシカに出合う

杣添尾根との分岐近くで、カモシカにばったりでくわした時はさすがにビックリ!

樹林帯でよく出合うという話は人から聞いていたけど、こんな横岳の主稜線で出合ったのも初めてなら、カモシカにでくわしのも始めての経験だったのでかなり驚いた。
でも彼は堂々としたものだった。
考えてみたら、こちらのほうが彼らの縄張りにお邪魔しているのだからね。

横岳山頂【写真】横岳山頂

7時50分、横岳山頂。
気温1度、強風で体感温度マイナス5度くらい。
今朝はまだガスが晴れてこない。
このまま、何も見えないまま、下山することになってしまうのか・・・

あまりの寒さに、早々に硫黄岳山荘に逃げ込む。
小屋人は屋根の雪下ろしに余念がなかったが、暖かい飲み物が欲しくて奥に声をかけると昨年のゴールデンウィークにお世話になった青年がでてきて「きよこさん、おひさしぶりです!」と先に挨拶されてしまう。
名前を覚えていてもらうとどうしてこんなに飛び上がるほどうれしんだろう〜♪♪v(⌒o⌒)v♪♪

もうこれで八ケ岳の旅が終わった気分になってくるから現金なものだ(^-^)


硫黄岳へ【写真】硫黄岳へは9つのケルンを数えて登る

お花の時期にまた来ることを約束して硫黄岳山荘をあとにする。
硫黄岳へは9つのケルンを数えながらえっちらおっちら登っていく。
同行者の青年の言によれば、腹式呼吸法を学べば高山でも呼吸が楽になるという。
ふ〜ん、腹式呼吸法か!
彼はヨガで腹式呼吸法を学んだそうだが、その呼吸法を学ぶスポーツは他にもいろいろあるので一度調べてやってみようと思う。

硫黄岳山頂【写真】硫黄岳山頂

硫黄岳山荘から25分で硫黄岳に到着。
昨日と同じく富士山、南アルプス、八ケ岳の南北までず〜〜っと見渡せる。
若干ガスのかかりはあるが、そのほうが構図的には魅力がある。

誰もいない、こない山頂で二人きり。
いいなあ〜、こういう時間も。。。。


爆裂火口【写真】爆裂火口の跡

だだ広い硫黄岳の山頂から夏沢峠へ下りる道まで移動して、爆裂火口の跡を覗き込む。
火口壁を眺めていると、この火山活動が起こってから人は何世代変わっているのだろうか?と思う。
山は、樹木は、何千年も前からずっとそこにあるけど、それに比べ人の一生のなんと短いことか・・・いろいろ考えると細川ガラシャの心境になってくる。




赤岳〜中岳〜阿弥陀岳【写真】左から横岳〜赤岳〜中岳(硫黄岳山頂から)

硫黄岳とお別れして、赤岩ノ頭に向かう。






峰の松目【写真】これが峰の松目(なかなかスタイリッシュで格好いい)

そうそう、一つだけ心残りになっている「峰の松目」(この峰の松目が八ケ岳の8つに入るという説もあるので)に登ってみたいとかねがねから思っていたので、きょうは健脚の青年も一緒だし・・・ということで峰の松目に挑戦することにした。
が、歩き出しから20分も経たない内に撤退を余儀なくされた。「積雪3〜4m。単独者入山禁止」のカードが木に取り付けてあったからだ(~~;
それなら、もっと分岐のところに取り付けておいてくれればいいのに・・・とちょっと残念がってみた。
ま〜、いいか!
一つぐらい、心残りがあったほうが再訪しやすくなるものだ。

赤岳鉱泉【写真】生ビールで乾杯

硫黄岳からの下りではピッケル又はストック、アイゼンの装着が必須だったが、少し横着をして尻スキーで一旦ハイマツ帯まで下り、ピッケル、アイゼンは使用せずに樹林帯を一気に赤岳鉱泉まで下ってみた。
途中冷や汗ものの場面が数度あったが歩行トレーニングがしたかったのでそれはそれで得るものはあった(^^;Aどっきどき

樹林帯の途中で道を見失ったが、じきに軌道修正をする。

赤岳鉱泉から
12時20分赤岳鉱泉到着!
鉱泉前に雪はたっぷりと残っていた。
いつもは出してあるベンチがなかったので、小屋の中で生ビールで乾杯。
山旅の友はいいものだ。






北沢を下る【写真】北沢を下る(うん、なかなか彼の後姿もスタイリッシュで山のモデルには最適だ!)

赤岳鉱泉からは北沢を下るコースをとったが、土曜日は山側の巻道をとらないと通過できなかったそうだ。
先日来の土砂降りで水流に勢いがついていた。
途中、岩魚釣りの人に出会ったが、水温が低くて一匹もつれないそうだ。
こんなに人が頻繁に行き交う沢ではたして岩魚がつれるのかしらん??
水温だけの問題かしらん??
疑問でした(^-^)

美濃戸山荘名物の牛乳【写真】美濃戸山荘名物の牛乳

堰堤から先の単調な林道歩きもおしゃべりをしていたら、意外にすんなりと美濃戸山荘についてしまった。
八ヶ岳にきたら必ずここでいただく牛乳を所望して、最後は地物のトマトで舌を引き締める。
2日間の八ケ岳の旅もここで終焉。

明日は縞枯山まで足を伸ばそうかと計画していたが、天候が怪しくなってくると聞いたので、後ろ髪を引かれながらも帰路に着いた。

(談)
今回泊めていただいた赤岳頂上小屋では、本当に楽しい一夜を過ごすことができました。また小屋の方からは八ケ岳で居を構えるための指南もしていただき、少しずつですが夢が膨らんできた感じです。それから硫黄岳山荘さん、まだ一度しか泊まったことのない私の下の名前まで覚えていてくださって本当にありがとう!みなさんの心優しさが伝わってきた旅でした。他の山域とはこういう面が違うのです!つまり一過性の商売をしていないということです\(^o^)/
八ケ岳の概念図

<参考コースタイム>
○1日目
登山口〜行者小屋〜赤岳
◆7時スタート、11時50分赤岳到着
・美濃戸登山口(南沢/2時間)行者小屋(1時間30分)中岳分岐(40分)赤岳
歩行時間 登り/4時間

○2日目
赤岳頂上小屋〜横岳〜硫黄岳〜赤岳鉱泉〜登山口
◆6時20分スタート、14時美濃戸山荘帰着
・赤岳山頂小屋(10分)赤岳天望荘(1時間15分)横岳(30分)硫黄岳山荘(25分)硫黄岳(1時間10分)赤岳鉱泉(北沢/1時間30分)美濃戸登山口
・歩行時間 5時間
・行程時間 7時間40分

◆登山形式:周回登山(単独)
八ケ岳の概念図

<見所>

抜群の展望、高山植物の宝庫、苔むした樹林帯と岩峰群のコントラスト、池の多さ、出湯・・・八ケ岳の良さは数知れず。足を踏み入れれば、そこに根ざしている人たちの心温かさに触れることも楽しみの一つ。それには自分から飛び込んでいくことも大切です。

<注意点>

この時期は雪が中途半端なので必ずアイゼン、ピッケルは必携。また赤岳〜横岳〜硫黄岳の縦走をされる場合は赤岳からの下りと横岳の通過に注意をすること。


<アプローチ>

岐阜市からは、中央高速を利用し「諏訪南インター」で下りる。料金所を左に折れたらまっすぐ原村を通過して484号線(八ヶ岳鉢巻道路)にぶつかったら左折。美濃戸高原別荘地を通り抜けたところが美濃戸口。そこにも駐車場はあるが、さらにその奥の赤岳山荘、やまのこ村にも駐車できる。早いもの順なので、満車の場合は美濃戸口まで戻ることになる。

<山小屋情報>

赤岳頂上小屋:収容300人。
開設期間:4月下旬〜11月上旬、年末年始
標高2899mの赤岳山頂の横に建つ。
小屋主は本沢温泉、やまのこ村、高見石小屋経営の原田氏。

<下山後の入浴>

美濃戸高原別荘地からもときた道484号線をまっすぐ富士見高原に15分ほど車を走らせると左手に富士見高原ゴルフ場が見えてくるが、その角に日帰り温泉「鹿の湯」がある。
効能:打ち身、くじき、筋肉痛、関節痛、疲労回復
入湯料:500円
営業時間:10〜21時、
補足:石鹸、シャンプーあり。タオル持参のこと


登山日記のメニューへ