登山日記
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■奥穂高岳(3,190m) 平成14年8月3・4日晴れ後曇り
上高地バスターミナル【写真】 上高地バスターミナル

健康診断の結果もさめやらぬうちに、はや心は穂高にありけり(^-^A;

早朝5時半の上高地はそろそろ目覚めの時。
登山者のカラフルなザックが行き交う中、400mほど先の河童橋へと足は急ぐ。

 

河童橋から【写真】河童橋から仰ぎ見る西穂高岳〜ジャンダルムの稜線

河童橋は前夜泊の観光客ですでに銀座状態。
橋から西穂高〜ジャンダルムへと続く険しい稜線を一瞥して、明神へと向かう。
河童橋から梓川の左岸の道を歩き、小梨平キャンプ場を通り抜け、カラマツ林の静かな森の中を軽快に進む。

明神岳【写真】姿かたちのよい明神岳

左手に明神岳が見えてくると明神は近い。
明神池が近くにあるので、ここまでは観光客も結構押し寄せてくる。明神館でトイレを済ませ、次の徳沢まで平坦な道を進む。車が通れるようになっているので登山道というより林道を歩いている感じだ。
白沢の橋を渡り徳本峠(とくごうとうげ)への道を右に分け、やや傾斜を増した坂道を一登りして下ると古池を左に見る。

  前穂高岳【写真】しばし足を止め「氷壁」の舞台となった前穂東壁を望む

この古池から先は徳沢を抜けて横尾に着くまで、左手に前穂高岳を眺めながらの歩きとなり、飽きることがない。
道中、思わず足を止めたくなるビューポイントが何ヶ所もあり、歩き出しからワクワクしてくる。
徳沢では一休みをし、井上靖の「氷壁の宿」として一躍有名になった徳沢園を覗き見し、横尾へと向かう。

横尾大橋から前穂を眺める【写真】横尾大橋の前に立ちはだかる前穂高岳

横尾からは槍ヶ岳、蝶ガ岳への道と分かれ、左写真の横尾大橋を渡って涸沢へと向かう。
ここからが本格的な登山道となる。
横尾本谷左岸に続く樹林帯の中を行く。増水時には尾根側を高巻いていく。
最初の樹林帯を抜けると正面に屏風岩の大岩壁がせまり、さらに進んでいくと今度は北穂高岳のピラミダルな岩峰が現れる。

本谷橋を渡る【写真】本谷橋を軽快に渡る

一時間程の樹林歩きから左に回りこんだところが本谷橋(ほんだにばし)。
本谷橋で横尾本谷を右岸に渡る。
橋のたもとでは登山者が一服の清涼を求めて寛いでいる。ここで昼休憩とする。

奥穂高岳【写真】峻険な奥穂高岳(涸沢ヒュッテから)

本谷橋からはいよいよきつい登りが始まる。
急なガレ場を過ぎ、左手に折れると次第に横尾本谷から道は離れ、今度は涸沢に沿って登りつめていく。
Sガレまでくると雪渓の一部がまだ残っており、滑らないよう慎重に進む。正面には奥穂高岳や涸沢岳の展望が開け、ようやく涸沢カールに近づいてきたなぁ〜と実感する。

北穂高岳【写真】北穂高岳と涸沢小屋(涸沢ヒュッテから)

一旦涸沢ヒュッテに登り付き、ここで大休止をとる。

涸沢カールを取り巻く穂高連峰の岩峰群、雪渓、お花畑、カラフルなテントがパノラマ風景になって、何度も見慣れた筈の構図なのに、自分の目で実際一見してみると全く違う感動が新たに湧いてきた!

ため息が出るほど美しい!
おそらく一日中デッキから眺めていても飽きないだろう・・・
紅葉シーズンにもう一度この感動を味わいたい・・・と思った。

ザイテングラート上から前穂高を仰ぐ【写真】ザイテングラートから前穂高岳を眺める

涸沢から穂高岳山荘までは雪渓を歩くパノラマコースと涸沢小屋横を抜けていくコースがあるが、往きは涸沢小屋経由でザイテングラートに取り付く。
小屋から潅木帯を抜けたら、ペンキ印のついたガレ場を登って一旦パノラマコースと合流し、ザイテングラートの基部を目指して直線的に斜上する。

ザイテングラートの登り【写真】岩場の通過

ザイテングラートに取り付いたら、後は三点支持を守って注意を払いながらキツイ登りをせめていく。
途中、足を止めては涸沢カールの景色に見とれ、そしてまた足を踏み出す。
「山荘まであと20分」のペンキ印が見えてきたら穂高岳山荘は近い。


穂高岳山荘【写真】穂高岳山荘/左上のガレが奥穂への取り付き

4時半にやっと穂高岳山荘に到着!
山荘の建つ白出のコル一帯はガスっていて奥穂高への取り付きもよく見えず、なんとなく恐ろしそうな雰囲気だけが漂っていた。

この日、問題の高度順応は比較的スムーズにできたが、夜中にお腹が痛くなったのには困った(~~;

二日目

【下の写真】穂高岳山荘から奥穂高岳まで
角度90度の鉄階段を登る 三点確保で岩場を攀じ登る 奥穂最高点にある祠

翌朝は一面のガスで視界もかなり悪かった為、誰もが様子をうかがっていた。
同行者はピークを踏むのを早々と諦め未練もなさげだったが、私は諦めきれず、山荘横の奥穂への取付点で誰か一人でもいいから登る人が来ないかと待ちわびていると、単独登山者がやおら登り始めたので「待ってました!」とばかりにその後に続く(雨具と飲み物だけザックにいれ5時15分にスタート)
30mほどの鎖場から始まり、1枚岩を越え、10段、14段の直角の鉄梯子を登ったら今度はまた鎖場。下を見るとスッパリ切れ落ち、かなり緊張する場面だ。
連続する岩場を過ぎたら安定した稜線に変わり、右手飛騨側から回りこんで、大ケルンの積まれた3190mの奥穂高岳山頂にやっと到着する。
眺望は望むべくもないが、憧れの奥穂高岳に登頂できただけで満足だった!

パノラマコースの雪渓を歩く【写真】前穂を仰ぎながらパノラマコースを涸沢ヒュッテまで下る

登ってきた道をまた穂高岳山荘にとって返し、温かい朝粥を作って食べ、ようやく生き返る。
同行者の言によれば、待っている間に山荘のホウバ味噌と生卵の朝食セットを注文し、それが又大変おいしくて、2杯もおかわりしたそうだ。
返す言葉もない・・・(-_-;;

お腹も落ち着いたところで、涸沢ヒュッテまで今度はパノラマコースを下る。雪渓歩きが目に眩しい。
ガスなど視界の悪い時には迷いやすいので注意が必要だが、下るにつれガスも晴れてきて、カール一帯の展望がすばらしくなってきた。

涸沢ヒュッテに着くとさっそく流水で冷やしたリンゴを求め、デッキで丸ごとかじりながら、夏の穂高連峰を心ゆくまで眺めた。

そして夏の穂高に別れを告げ、横尾〜徳沢〜明神〜上高地へと下り、間一髪で土砂降りの雨をかわし、平湯行きバスに乗り込んだ。
コース紹介MAP
■登山道で出合ったお花たち
上高地〜涸沢 【写真】ヨツバヒヨドリ、ミヤマウイキョウ、オタカラコウ、ホタルブクロ、ソバナ、カニコウモリ、ヒメシャジン、クガイソウ、オオバミズホウズキ、ウツボグサ、オオバグサ、センジュガンピ、クルマユリ、アオノツガザクラ、ゴゼンタチバナ、
涸沢カール一帯 【写真】クモマグサ、チングルマ、ナナカマド、タカネヤハズハハコ、イワベンケイ、オンタデ、コバイケイソウ、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、ハクサンフウロ、ヨツバシオガマ、ハクサンシャクナゲ、コイワカガミ、ミヤマダイコンソウ、ベニバナイチゴ、カラマツソウ、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマシシウド
奥穂高岳稜線上 【写真】イワギキョウ、イワツメクサ

<参考コースタイム>

◆一日目(5時半スタート)
上高地バスターミナル(40分)明神(50分)徳沢(1時間)横尾(1時間)本谷橋(1時間30分)涸沢ヒュッテ(2時間30分)穂高岳山荘

・歩行時間 7時間30分
・行程時間 10時間

◆二日目(5時15分スタート)
穂高岳山荘(30分)奥穂高岳(30分)穂高岳山荘(2時間)パノラマコースを下って涸沢ヒュッテ(1時間)本谷橋(50分)横尾(1時間)徳沢(45分)明神(40分)上高地バスターミナル

・歩行時間 7時間15分
・行程時間 10時間30分

◆登山形式:往復登山
コース紹介MAP

<見所>
1、明神〜横尾までの登山道から眺める前穂高
2、涸沢カールからの穂高連峰
3、奥穂高岳からのパノラマ風景(今回はガスで見れませんでした)

<注意点>

・ザイテングラート上やパノラマコース上でのガスには注意!
・山荘横の奥穂への取り付きの岩場では、三点支持が原則。あらかじめ周りをよく見て悪場はどこなのか頭の中で把握しておくこと!

<アプローチ>

平湯バスターミナルは自家用車がおけないので、村営のあかんだな駐車場(一日500円)にとめおく。
駐車場の営業時間は朝5:00〜夕方7:00まで
開門は朝4:00(時間外は施錠されるので注意!)
シャトルバスが平湯バスターミナルから迎えにきてくれるので便利!
平湯の始発が朝5時(ハイシーズン中)なのでそれに時間を合わせて送迎あり。最終は夜6時。

<穂高岳山荘>
穂高岳山荘
  • 白出のコル標高2996mに建つ
  • 営業期間:4月28日〜11月5日
  • 収容人数:350名(冬季小屋あり)
  • テント場:25〜30張り
  • 8500円 素5600円
  • 現地:090-7869-0045

<下山後の入浴>
平湯館の日帰り入浴がお勧め!
女性用の露天風呂は定評あり(桧風呂と岩風呂の2種類の露天風呂)
入浴料1000円


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