登山日記
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■十石山(じっこくやま2,525m) 平成14年7月21日晴れ後曇り
白骨温泉街を歩く【写真】 白骨温泉街を旅館前田まで歩く

乗鞍岳から北東へ続く十石東尾根上にある十石山は、古くは安房峠からも道がつけられていたが、今は白骨温泉からの道が唯一の登山道になっている。
白骨温泉の案内所近くにある無料の公共P(約50台)に車を止め、案内所の前を過ぎ、松本タクシー白骨営業所前で「上高地・乗鞍スーパー林道」を右に見て、そのまま直進する。旅館前田を目指して進むとわかりやすい。

 

白骨遊歩道【写真】白骨遊歩道入口にある道標

旅館前田の前で「白骨遊歩道」の案内板が出てきたら遊歩道の中を進む。ほどなく車道に一旦出るがそのまままっすぐ遊歩道を歩いていく。やがて三つに分かれる分岐に出るが、まっすぐ道なりに上手の道を進む。下手はスーパー林道へ出る道。
左に折れると、滝のほうへ行ってしまうので注意!
十石山の案内板がその先にあるのだが、この分岐にあるのが正しいような気がする。

藪こぎ【写真】笹の藪こぎ・・・踏み跡うすい

笹におおわれた階段状の道を進んで、湯沢を左下に見ながら10分も歩くと、今度は背丈よりも高い笹の藪こぎが始まる。
笹はかなり深い。
鎌を持ってこなかったことが悔やまれたが、長袖シャツ、手袋、頭は手拭いを被ってガードし、うすい踏み跡をたよりに大笹の海原を掻き分けて進んでいく。
一人だったら恐らく引き返しただろうなあ・・・と自信を持って言える位心細くなる道である。

  十石山への分岐【写真】十石山への分岐

やがて十石山の道標が現れる。そこを左に折れ、さらに笹の藪こぎは続く。
ちょうど笹の花(イネ科の穂のような)の開花時期で、掻き分ける先から埃のような花粉が飛び散る。
笹との格闘が終わると、白樺林の明るい樹林帯に出て、しばらくは南面につけられたジグザグ道を登る。老齢の大木が林立する平坦な尾根道に出たところで休憩を取るが、全員が滝のような汗で全身びっしょり!汗の臭いにブヨが集まり、追い払うのにも一苦労(;o;)
標高1800m辺りからシラビソとコメツガの針葉樹林に変わり、南西の木の間から乗鞍岳がちらちらと顔を見せる。
足元は刈り取られた笹の茎が中途半端に伸びて歩きにくくなる。

森林限界から【写真】森林限界からはナナカマドの海原が続く

分岐から3時間が経過してもまだ樹林帯を抜けられず、「あとどれ位で森林限界に出るんだろう・・・」と全員に疲れが見え始めた頃、一組の団体パーティーが下山してきた。きょう、初めて合う人たちだ。
小屋までの時間を聞くと小一時間という。「え〜〜っ」とため息の合唱(~~;エリアマップの時間をかなりオーバーしている。
ここまできたら行くしかない!気を取り直し、コイワカガミやカラマツソウの咲く足場の悪い道を黙々と登っていくと、標高2200mでやっと森林限界に出た。
視界は一気に開け、十石山の稜線がなだらかで美しい!

十石小屋【写真】十石峠小屋

ナナカマドの大海原を目の当たりにしたら俄然元気が出てきて、十石峠小屋まで続くお花畑の登山道を急ぎ足で駆け登る。
最後の登りを右に折れると峠小屋が突然現れる!
小屋の前には一面のお花畑・・・ヨツバシオガマ、コバイケイソウ、チングルマ、クルマユリ、イワツメクサ、アオノツガザクラ・・・
小屋にザックを放り込み裏手の台地によじ登ると、お花の女王「コマクサ」がひっそりと咲いていた。
自生しているのか、誰かの手で持ち込まれたのか?知る由もないが、思いがけないご対面で嬉しくなってしまう。

十石山【写真】十石山のケルン

三角点はそこから左手の小高くなったハイマツの中にあるそうだが、探しても見つけられず、ケルンの前で記念写真を撮って小屋まで戻った。
晴れていれば穂高連峰、乗鞍岳など主要な稜線を眺めることができただろうが、到着時間が遅かったので、残念ながらガスで見えない。



【写真】十石峠避難小屋の内部は人が住んでいるかのように整理・整頓されている

地元の有志で再建された十石峠避難小屋はきれいに整理整頓されていて、炊事道具まで揃っている。
水場はないので水は下から運んでくることになるが、使用後は火の後始末、掃除などをキチンとしておきたいところだ。

お花畑を前にして小屋の中で食事を取るのも惜しいので、外で食事を済ませ、2時半に下山開始。往路をそのまま戻るが、森林限界辺りで前穂、明神岳を確認する。

下山後は白骨温泉で汗を流したかったが、営業時間切れで入れてもらえず平湯温泉の「ひらゆの森」で汗を流す。

(後日談)
藪こぎのすり傷、切り傷、ブヨにさされて腫れ上がった腕が2〜3日痛々しかったが、それも時間の経過とともに勲章のような気がしてきた。

■山小屋周辺のお花たち(一例)
<<<・・・・コイワカガミ




コマクサ・・・・>>>
<<<・・・・クルマユリ
<<<・・・・イワツメクサ




ヨツバシオガマ・・・・>>>
コバイケイソウ・・・・>>>
▼一面に広がるお花畑
コース紹介MAP

<参考コースタイム>

◆コース
白骨遊歩道入口(15分)遊歩道の分岐(3時間30分)森林限界(40分)十石峠小屋(5分)十石山(5分)十石峠小屋(2時間)遊歩道の分岐(10分)白骨遊歩道入口

登りの歩行時間 4時間30分(休憩含む)
下りの歩行時間 2時間15分(休憩含む)

◆登山形式:往復登山
コース紹介MAP

<見所>
1、小屋の前のお花畑
2、山頂から見る穂高方面、乗鞍岳

<注意点>

踏み跡うすく、背丈以上ある笹の藪こぎは覚悟あれ。
藪こぎ対策に長袖シャツ、手ぬぐい、軍手は必携。余裕があれば鎌を持参すると良い。
道は全般に細く、写真などを撮りながら歩いていると登山道からすべり落ちることもあるので注意が必要。また、十石山から乗鞍岳方面への道は踏み跡も確かではないので、むやみに行かないこと!

<アプローチ>

安房トンネルを抜けて白骨温泉へ向かう。温泉街の入口に無料大駐車場がある。

<十石峠避難小屋>

上記を参照

<下山後の入浴>
白骨温泉街には日帰り入浴施設、旅館多数あり。


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