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■北岳(3,192m) 平成14年7月6・7日曇り後雨 | |
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![]() 今回の北岳は、初顔合わせのグループ登山(4人混成)でお互いの力量もわからずの強行山行。 天気予報は2日とも曇り後雨で絶望的な見通しだったが、諦めきれず登山口まで前夜の内に移動。 鳳凰三山の登山口でもある夜叉神峠の駐車場に停めて、車とテントに分かれて仮眠。翌朝6時に広河原へ向かう。 広河原の無料駐車場を7時に出発し、広河原アルペンプラザ前の厳重なゲート(まるで検問みたい)脇を通り抜ける。 |
ゲートからすぐの林道左手にかかる長い吊り橋を渡る時、前方に北岳が聳え立ち大樺沢の雪渓も見えてくる。橋を渡りきって右に折れると広河原山荘。 |
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![]() 分岐からは沢の音を聞きながら、小さなアップダウンを繰り返す。登山道は大きな崩壊箇所が2ヶ所あり、迂回するための丸木橋が置かれていたりする。 紫色のミヤマハナシノブ(北岳と白山にしか見られない)、タカネグンナイフウロが山道に競うように咲いて、カラマツソウの白さがその風景に効果を与えていた。 |
![]() 冗談を飛ばしながら樹林帯を抜けて広い河原に出ると急に視界が開け、北岳があっけなくも目に飛び込んでくる。 こんなにも簡単に北岳とご対面してもいいのかしらんと思うくらいあっけなかった。 「え〜っ、これが本当にあの北岳バットレス??」同行者が騙しているのではないかと疑い、何度も確認したくらいだった。 |
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![]() 大樺沢の雪渓が始まる基部の二俣出合は3つのコースの合流点になっていて、右は白根御池小屋、中央は右俣から草すべりを経て肩の小屋へ、そして最後に残った左が大樺沢をつめて八本歯へ向かうコースである。 ハイシーズン中ならジグザグの夏道を行くのだが、ここはアイゼンを装着して雪渓を直登することにした。 雪渓上部には、アリのように行列をなす登山者の姿が眺められる。雪渓もスプーンカットになっていれば歩きやすくなるのだが、まだ雪質が安定しておらずアイゼンをつけていてもキックステップで登りつめていかないとスリップしてずり落ちる場面もあり。 |
![]() 雪渓の途中から後ろを振り返れば「鳳凰三山」が顔を出し、右手前方には「北岳バットレス」が大きく迫ってくる。 天気予報に反して、薄日が差してきた。雪面からの照り返しがまぶしい。 一時間半かけて雪渓を登り終えたところでアイゼンを取り外し、昼食をとることにした。 「鳳凰三山のオベリスク」を眺めながら、いつかあの山へいこう!と心に決める。 |
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![]() 雪渓上部から八本歯のコルまでは急登の連続である。登ってきた道を振り返ってみればその傾斜がきついことがわかる。 息が切れる頃「これでもか!」と今度は木ばしごの連続迎え撃ちに合う。 ようやく八本歯のコルに出ると、今度は突風の出迎え。 同行者の到着をコルで待っている間、何度も吹き飛ばされそうになりしゃがんで風の通過を待つ。 |
![]() 八本歯のコルからはやせた稜線を右に進み、長いハシゴを登り切ると、じきに岩場のガラガラした岩石帯に変わり、右へ左へと登りつめていくと、分岐点に着く。 ここから真っ直ぐは北岳、左トラバース道は今宵の宿・北岳山荘(芦安村営)である。 |
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![]() 肩の小屋に泊まる人はまっすぐ直登し、北岳山荘に泊まる人は左のトラバース道を進む。 このトラバース道は北岳の南東につけられていて、岩場の危ない箇所には手すりや梯子で足場がしっかりつけられているので安心である。また、トラバースルートには北岳最大のお花畑がある。 |
![]() トラバース道ですれ違った女性登山者が「キタダケソウが咲いてましたよ!」と教えてくれた。 でもすでに時期が遅くハクサンイチゲが辺り一面に咲き乱れ、この同種の中からキタダケソウを見つけることは至難の技だった。 しかも突風が吹き荒れ、時折しゃがんでは通過を待ち、時には吹き飛ばされそうになり、同行者の手を借りやっと一歩が踏み出せる有様。 そんな状況下でもカメラ片手にキタダケソウを探す執念が自分でもおかしいくらいだった。 写真はたくさん撮れど、確信はもてずに北岳山荘に到着! いつしかガスは切れ、北岳への稜線がぽっかり浮かび、夕焼けに染まりゆく富士山を小屋の中から4人がそれぞれの思いで眺めていた。 その夜は、高度順応がうまくできずに頭痛と胃のむかつき、低体温症に悩まされ、またも一睡もできずに夜は明けていった。 |
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二日目 | |
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![]() 翌朝は山荘を6時に出発。 空は晴れ渡り、今日もついてる!と誰もが思ったが、北岳へ向かう稜線上からぐんぐんガスが上がり始め、吊尾根分岐に着く頃には突風で吹き飛ばされそうになり、稜線上の登山者は一様にしゃがみこんで低姿勢をとった。 |
![]() 夏でも低体温症に注意!とガイドブックに記されていたが、実際この日Tシャツの上にフリースと長袖ブラウスを着こんでいたが、それでも震えは止まらず「山の恐さ」をまた改めて思い知った。 分岐から上はガラ場の道で、左よりの道をトラバースしていく。岩場や、西の斜面一面にもお花畑が広がり「花の北岳」と呼ばれるにふさわしい山である。 山頂が近づくにつれ、それが雪混じりのガスに変わり、全身濡れ鼠になってきた。 |
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![]() 団体さんの長蛇の列に続いて山頂に到着すると、記念撮影よりもまず先にレインコートを着込んで体温保持に努める。 感動のご対面はあっけなく終わり、早々に肩の小屋まで下りて、暖かいコーヒーを注文する。 雨になってしまっても誰にも落胆の色はなかった。 初めから雨の山行を決意していたのに思いがけずガスが切れて北岳の全容を眺めることができたので、それ自体がもう最高のプレゼントだった! |
![]() 肩の小屋からは、草すべりのお花畑を通って白根御池小屋へ向かう。 今の時期はシナノキンバイ、クロユリ、ミヤマキンポウゲ、ハクサンチドリ、サンリンソウ、そして芳香を放つサンカヨウなど数え切れないお花で百花繚乱。 ガスに煙るダケカンバの新緑とシナノキンバイの黄色いお花畑は、しっとりと幻想的な雰囲気で何かを語りかけてくるようだ。 雨の日もなかなかいいもの! 天気が良くては、こういう味わいは体感できない。 滑らないようゆっくりゆっくり時間をかけて、白根御池の脇を通って小屋に着く。 ここで最後の小休止をとって、広河原まで下りた。 広河原山荘で暖かいラーメンを食べ、やっと生き返るV(^-^)V |
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![]() このミヤマハナシノブはここ北岳と北海道、白馬連峰清水岳にしかみられない種。 大樺沢の左俣コースや白根御池小屋へ下るコースでも見かけ、すっと伸びた姿が女性のようにしなやかで、それが名前にも表現されている。 |
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コース紹介MAP |
■今回のコースで出合ったお花たちの一例 | ||||||
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バイカウツギ | イブキトラノオ | グンナイフウロ | オドリコソウ | ハクサンチドリ | ヤグルマソウ | ヨツバシオガマ |
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ヒロハコンロンソウ | ミヤマキンポウゲ | サンカヨウ | イワベンケイ | ミヤマオダマキ | チョウノスケソウ | チシマアマナ |
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シナノキンバイ | タカネウスユキソウ | キバナシャクナゲ | チングルマ | ハクサンイチゲ | ミヤマムラサキ | クロユリ |
(上の写真のチシマアマナが咲いている近くにキタダケソウが咲いていることが多いことが後で分かった)
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<参考コースタイム> ◆広河原〜北岳山荘 1、広河原から朝日に輝く北岳 2、大樺沢から見上げる北岳バットレス 3、北岳山荘へ向かうトラバース道のお花畑 <注意点> |
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