登山日記
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■槍ケ岳(3180m) 平成13年9月22・23日(土・日) 快晴
コース紹介MAP
夏山近道【写真】 穂高平への近道

登山歴4年目にして初めて槍ケ岳に挑戦する。
槍ケ岳へは、東西南北どこからでもコースを選ぶことができるが、今回は一山に徹し、一番静かな山行が予想される新穂高温泉口から登ることにする。
岐阜市を深夜2時半に出発し、新穂高ロープウエーより下った所にある無料の村営駐車場に車を留め置き、ロープウエー前を6時にスタートする。
蒲田川右俣林道をしばらくゲートまで歩く。ゲートを過ぎると、すぐに穂高平に登る近道が右手に見えてくる。標識があるので分かりやすい。

 

穂高平の牧場【写真】 穂高平(標高1320m)にある牧場

薄暗い樹林帯の中を登っていくと避難小屋のある穂高平に出る。
牛が放牧されていて、なんとものどかな風景だ。
穂高平から1時間程で白出小屋に着く。
ここは、槍ケ岳と奥穂高の分岐点になる。
アンパンをかじりながらしばらく観察していると、槍より奥穂に向かう登山者が圧倒的に多い。
奥穂に行くという人懐っこい富山の男性登山者は、このコースを行くのは今日で4回目で、この夏、剱岳を日帰りで登ってきたというツワモノだった。
でも、記録だけの山行は味気ないね〜という話題をキリに、お互いの無事を願って分かれる。

 

白出沢を渡る【写真】滝谷の木橋を渡る

林道は白出小屋で終点となり、すぐ先から広いガレの白出沢を渡る。
深い樹林帯の登山道をひたすら歩く。
展望もなく、標高もなかなか上がらない。
左下に蒲田川の流れが見えてくると、今は使われていない避難小屋の建つ滝谷の出合につく。
狭い谷間に滝が勢いよく落ちてきてなかなか壮観だ。
滝には一枚の板橋が架けてあり、渡ると右手の大岩に藤木九三のレリーフを見ることができる。
ガレと大岩の河原を横切り、また針葉樹林の登山道をだらだらと登ることになる。

槍平小屋【写真】槍平小屋から穂高連峰を眺める

2時間も歩くと、やっと槍平小屋に着く。
ここまで4時間近くかかる。
ちょっと一息いれて、coffeeを飲む。
小屋からは北穂高、涸沢岳、奥穂高が眼前に迫って見える
ガスも次第に切れ始めてきた。
小屋から左手に入るとキャンプ場になっていて、そのまま河原を進んで針葉樹林に入る。
高度はまだ上がらない。ガレ沢の押し出しを過ぎて、最後の水場で手を洗い一時の涼風を味わう。

飛騨乗越の稜線【写真】飛騨乗越の稜線はまだまだ遠い・・

水場からは急な登りが始まり、ぐんぐん高度を上げていく。
と、急に視界が一気に開け、西鎌尾根から飛騨沢つめの大斜面が眼の前に広がる。槍岳山荘も見えてきた。
見上げる飛騨乗越の稜線は、まだまだ遠い。
この辺りから、どこをどう間違ったのか、沢を登っていくうちに、主登山道から外れていることに気づき、山の中腹を横切って、本来の登山道に合流する。
このガラ場の登りが一番辛い(>_<)石ころだらけで歩きにくいし、道はジグザグで遅々と進まない。目の前に飛騨乗越の稜線が見えていても、なかなか距離が縮まらないのだ。
夏のシーズン中なら、眼下に広がるお花畑が疲れも癒してくれるだろうが、今は何もない。

飛騨乗越【写真】飛騨乗越からは槍が!

息もからがらになる頃、やっと飛騨乗越に到着!
槍ケ岳の空を突き刺すような穂先が、目の前に迫って見えた時は、苦しかったこれまでの行程のことも忘れてしまうほどだった。





槍ケ岳【写真】槍ケ岳の大槍

乗越から肩の槍岳山荘へは10分程度で着く。
2時ちょうどに、宿泊の受付を済ませ、ザックを置いて身軽に槍ケ岳に向かう。
槍ケ岳は小屋の目の前に聳えており、山頂までは鎖やはしごを使って順番にマーキングに従って慎重に登る。
時間も3時を過ぎていたので、混雑も左程なく15分程度で到着する。

槍ケ岳山頂【写真】山頂の祠

槍ケ岳の頂上は思ったより広い。
北アルプスは一望の上、富士山の姿もハッキリ見える。
運良く、槍のブロッケン現象を撮影することもできた。
これは大変珍しいことなのでは・・・

祠の前で一人ずつ順番に記念撮影をしてから、後から登ってくる人に譲って下山をする。

ブロッケン現象【写真】ブロッケン現象とは?

高山の日出・日没時に、前面に霧がたちこめる時、陽光を背に立つと、自分の影が霧に投影され、
影のまわりに色のついた光の環が浮び出る現象。
弥陀が光背こうはいを負うて来迎するのになぞらえて御来迎(ごーらいごう)ともいう。
ヨーロッパで、ブロッケン現象、またブロッケンの妖怪などと称するもの。

笠ケ岳の西方に沈む夕日を眺めながら、一日を締めくくる。

小屋でお隣り同士になった東京からきたという紳士は、今頃は商用でニューヨークだったが、今回のテロ事件で急遽取り止めにし、槍・穂高の縦走に変更したとニコニコ顔だった。
60才までに百名山を完登したい、とも。

人生いろいろ、苦楽もいろいろ・・・

笠が岳【写真】笠ガ岳を眺めながらの下山

翌朝も、秋晴れに恵まれ、南アルプスからのご来光を拝んでから、山荘を7時に出発。
飛騨乗越からは、双六岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳、笠ガ岳を眺めながら下山することになるが、これはなかなかのものである。
途中、昨日迷った地点とその原因を確認しておく。

槍平小屋で、穂高連峰を見納めてから、午後1時に新穂高ロープウエーに無事帰着する。


ワンポイントアドバイス

<参考コースタイム>

◆槍ケ岳(新穂高温泉口)
1日目スタート:5時50分
槍岳山荘着:14時

新穂高口(45分)穂高平(45分)白出小屋(75分)滝谷(50分)槍平小屋(3時間30分)飛騨乗越(10分)槍岳山荘(15分)槍ケ岳

往き 7時間30分
全行程時間 8時間10分
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2日目山荘スタート:7時
新穂高口帰着:13時

槍岳山荘(2時間30分)槍平小屋(40分)滝谷(60分)白出沢(50分)穂高平小屋(30分)新穂高口

下り 5時間30分
全行程時間 6時間

◆登山形式:往復登山

コース紹介MAP

<見所>

このコースは上高地側から比べれば登山者も少なく静かである。
天気に恵まれれば、登山中ぐるっと360度北アルプスの山々を眺めながら歩くことができる。
飛騨乗越に着くまでその姿を現さない槍ケ岳の大槍・小槍も見物!

<注意点>

道は全般にマーキングなどで整備されているが、槍平小屋を出てからは避難小屋はない上に、行程が長い為、足に自信がなければ時間と相談した上で槍平で一泊した方がよい。また、飛騨乗越までのガラ場歩きは顎が出るので、マイペースでゆっくり登った方がよい。

<アプローチ>

高山市を抜けて、新穂高温泉まで1本道。

<山小屋ガイド>

・槍岳山荘 0263-35-9707(現地)収容650人


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