登山日記
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■空木岳(2864m) 平成13年8月24日・25日(金・土)晴れ

一日目(空木平コース)
コース紹介MAP
登山口【写真】 空木岳登山口

今回は駒ガ岳ロープウエーを使わず、駒ガ根高原から空木岳を結ぶ長大なコースに挑戦!
中央高速・駒ケ根ICを降りて右に折れ、少し走るとすぐ左手に駒ガ池が見えるので左折をして、駒ケ根スキー場の駐車場方面に向かう。
駐車場を右に見ながら通り過ぎると、空木岳登山道の標識が見えてくるのでそこを右折すれば後は林道を道なりに進めば終点に行き着く。
りっぱな登山道の標識を右に見ながら、しばらくはブナ林の池山遊歩道を歩いていく。

水場【写真】 最後の水場に涼求む

カーブを幾度か曲がると鷹打場に出て、そこからは静かなカラ松林の中を快適に進み、旧池山小屋、現在の池山小屋への分岐を通り過ぎると最後の水場に出る。
汗でびっしょりになった手と顔を洗い、一時の清涼を味わう。水場を過ぎると、苔やキノコが至るところに植生している樹林帯の中を登っていく。
根っこが張り出していて歩きにくいことこの上ない。
辺り一面はガスっていて、汗とガスの水滴が顔や髪から滴り落ちてくる。
ツガ林に変り、広い尾根に出るとこの先でマセナギノノ頭の看板を左に見ながら、崩壊地の始まる大地獄、小地獄に足を踏み入れる。

難所【写真】 難所が至るところに

しばらくは崩壊した山腹に架けられた木橋やケーブル、鉄や木の階段を攀じ登って迷い尾根まで一気に出る。
昨年はここで死者が出たそうだが、駒ケ根市の計らいで道は整備され、注意を払っておれば左程案ずることはない。
コース途中で6組程の下山者と出合い、昨夜は木曽殿山荘は12名、駒峰ヒュッテは4名の宿泊だったことを聞く。
しばらくは尾根伝いに距離を稼いでいくが、じきに登りになり山腹を巻きながらコブを越えると最後の分岐点に出る。
まっすぐ行けば、空木岳の稜線にでる駒石コースだが、敢えて時間のかかる空木平のコースを左に取る。

  沢沿いのガレ場【写真】 沢沿いにガレ場を登る

ハイマツ帯の中を進むと15分程度で避難小屋の建つ広大な「空木平」のお花畑に出る。
盛花は過ぎてしまったが、それでもまだキリンソウ、リンドウ、トリカブト等が開花を競い合っていた。
ここから空木岳へは沢に沿った道を進むが、ガレ場の連続で何度も足を取られそうになる。
ガレ場の途中で、上を見上げると駒峰ヒュッテの姿を捉えることができたが、空木岳は依然ガスの中である。

空木岳【写真】 ヒュッテから空木岳を眺める(東面)

ハイマツ帯をひと登りするとヒュッテの前に出る。ここで先ほど別れた駒石コースと合流する。
ヒュッテで宿泊環境を聞くと、寝具は寝袋、食事は一汁一菜、トイレは紙袋で1回200円と聞き、ちょっと尻込みをする。何事も経験とは思ったが、空木岳から50分も下れば建て直された木曽殿山荘があるのでそちらに向かうことにする。
聞けば、駒峰(こまほう)ヒュッテは山岳会が運営されていて、管理人も順番交替で変るそうだ。

  空木岳【写真】北側から撮った空木岳

ヒュッテから5分も登ると空木岳山頂。
5人ほど先着者がいた。
到着と同時にガスが切れ始めたが、展望は望むべくもない。
パノラマ映像は明日のご馳走にして、木曽殿山荘へ降りるために檜尾岳への稜線を下っていく。
ここからは、大きな岩場の下りが2ヶ所(大きすぎて足が届かない。身長で不利(;_;)、イワ棚(バンド)のトラバースが何ヶ所もあり慎重を要する。

木曽殿山荘【写真】宿泊先の木曽殿山荘

50分ほどで鞍部の木曽殿山荘に到着!
熱いお茶と梅の焼酎漬けのおもてなしは、心憎いばかりであった。
山荘での食事はおでんの関東煮で、調理時間の短いおかずが定番だと思っていたので、時間のかかる煮物が出されたのが無性に嬉しかった(^_^)
ちなみに今夜の宿泊客は60余名、布団は2枚に3人の割合だった。
耳栓にも慣れてきて、鼾もさほど気にならず朝まで爆睡できた。
慣れとはありがたいものだ。


2日目(駒石コース)
日の出
5:10日の出 (右の高い山は甲斐駒ケ岳)

4時半に目ざめ、山荘から東川岳に登りつめた岩場で日の出を待つ。
次第に東の空が茜色に焼けてきて、5時10分頃からご来光が始まった。
それは神々しいほど神妙な気分になる瞬間であった。
自然の偉大さを再認識する瞬間でもあった。

トウヤクリンドウ【写真】空木岳周辺はトウヤクリンドウが満開!

山荘のご主人に一宿ニ飯のお礼をいい、6時に出発。
昨日、下りてきた道をまた登り返すのだが、食事をしたばかりなので、最初の15分がキツイ(>_<)
標高差400mを一気に登るのだから息も次第に荒くなるし、味噌汁の塩分で喉も渇く。


空木岳【写真】空木岳の三角点

1時間程汗をかいて、空木岳に到着!
空は澄み渡り、木曽駒ケ岳への稜線は無論のこと、南アルプス、八ヶ岳、、富士山、間近に御岳、乗鞍岳のシルエットがハッキリと見える。
ひさびさに素晴らしい景観に酔いしれた!



南駒ケ岳【写真】南駒ケ岳

深田久弥氏が百名山に推薦するのに、空木岳とこの南駒ケ岳のどちらにするか迷ったという。
ウツギという美しい響きに惹かれ、空木岳に決めたというが・・・
荒々しい空木岳に比べ、男性的でゆったりとした山である。



駒石から空木岳を振り返る【写真】駒石コース上から空木岳を振り返る

山頂で女性登山者と山談義に花を咲かせてから、駒峰ヒュッテに下り、昨日とは別の駒石コースをたどって一気に登山口まで下りた。


■コース上で出合ったお花
ヤマジノホトトギス キバナノホトトギス ヤナギラン アキノキリンソウ エゾリンドウ
ウサギギク トリカブト コウメバチソウ イワツメクサ ミヤマホツツジ

ワンポイントアドバイス

<参考コースタイム>

◆空木岳(一日目・空木平コース)
スタート:8時30分
木曽殿山荘着:15時30分

林道終点(1時間)最後の水場(1時間)尻無分岐点(2時間)空木平分岐(15分)空木平避難小屋(45分)駒峰ヒュッテ(5分)空木岳(50分)木曽殿山荘

歩行時間 5時間55分
行程時間 7時間

■(ニ日目・駒石コース)
スタート:6時
駐車場帰着:11時

木曽殿山荘(1時間)空木岳(2時間)尻無分岐点(1時間10分)林道終点駐車場

歩行時間 4時間10分
行程時間 5時間

◆登山形式:往復登山(単独)
コース紹介MAP

<見所>

空木平はカール地形ではないが、6月下旬から8月上旬に訪れれば、ミヤマクロユリの群落が素晴らしく、コイワカガミ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、ハクサンフウロ、トリカブトが次々に開花を競い合う。

<注意点>

何しろコースが長いだけに、膝にかかる負担度も相当大きいため、大地獄、小地獄でははしごやロープ、橋などに気をつけ、慎重に足を運びたい。
また、最後の水場から営業小屋の木曽殿山荘まで水の確保ができないので、注意しよう!

<アプローチ>

中央高速・駒ケ根ICを出たらすぐ右折をし、駒ケ根高原方面へ走る。すぐ左手に駒ガ池が見えるので左折をして、駒ケ根スキー場の駐車場方面に向かう。
駐車場を右に見ながら通り過ぎると、空木岳登山道の標識が見えてくるのでそこを右折し、後は林道を道なりに進めば終点に行き着く。
木曽殿山荘でタクシーを呼んでおくこともできる。
木曽駒ケ岳からの縦走には利用すると便利かも。

<山小屋ガイド>

木曽殿山荘(120人) Tel 0573-66-5014
姉妹が経営者だけあり、細かいところの気配りがさすが・・・と思わせる。料理もフライや冷凍モノではなく煮物や混ぜご飯など工夫を凝らしたおふくろの味が嬉しい。


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